新聞は偏っているからこそ面白い。
意外とこの“楽しさ”を知らない方が多いと思う。私がとくに理想的だと思うのが「スポーツ新聞と読者」の関係である。
相手陣営のことは遠慮なしに書く「スポーツ紙」の醍醐味
スポーツ紙によってプロ野球チームの情報量が「堂々と」偏っているのだ。スポーツ報知は巨人、デイリースポーツは阪神。東京中日スポーツはもちろん中日だし、サンケイスポーツはヤクルトが多い。野球ファンは好きなチームの情報が多く載っている新聞をおもに読む。
つまり、お客(読者)は最初から「偏っている」ことを承知で新聞を買うのだ。デイリースポーツに対して「阪神に偏りすぎだ」と怒る人はいないだろう。なので「新聞と読者」という関係ではスポーツ紙はとても健全だと思うのである。
そして私はそのうえで、巨人ファンなら「デイリー」「東京中日」を、阪神ファンなら「報知」「東京中日」も読めばいいと提唱している。同様に中日ファンも。
なぜなら「相手陣営」の新聞なので(遠慮しなくていいから)巨人や阪神の評価が率直に端的に書かれているのだ。ファンならむしろ相手陣営の新聞こそ必読なのではないか? これも情報の取り方の一つだと思う。
たとえば先日発表された巨人・高橋由伸監督の「辞任」。当然だろうがスポーツ報知よりも他紙のほうが内幕をズケズケ書いていた。遠慮がいらないからである。