調理法なら「ゆでる、蒸す、煮る」
ビタミンB群は体内に蓄積できない栄養素なので、毎日コツコツ摂る必要があるという。
調理法によっても、老化を促進するAGEの量は大きく変わってくる。AGEは加熱される温度が高く、時間が長くなるほど増えていくのだ。
「どんな食材でも油で焼いたり炒めるより、加熱温度の低い、『ゆでる、蒸す、煮る』という調理法が老化を防ぎます。たとえば鮭は揚げると生の2.5倍以上、鶏の胸肉は焼くと生の約7.5倍、揚げると約10倍、悪玉物質のAGEが増えます」(牧田医師)
牛肉や豚肉なら焼き肉でなくしゃぶしゃぶ、鶏肉ならフライドチキンでなく蒸し鶏を。なんでも加工度が低いほうがベターで、白米より玄米、揚げ魚より刺身、野菜なら生サラダという具合に考える。
揚げものを食べたい時は、AGE発生を抑制する効果がある「酢」や「レモン」を使うのがおすすめだ。
「生肉を焼くとAGEは約五倍になるが、焼く前に酢につける(マリネする)とAGEの発生量が2倍以下になったという研究結果があります」(同前)
スパイスも老化防止に効果がある。「胡椒」や「クミン」などのスパイスがAGE発生を阻止するという海外の研究があるのだ。
老けない飲み物は「ワイン」
老けない飲みものもある。牧田医師のおすすめは「ワイン」だ。
「赤も白も、糖化と酸化を予防する成分が豊富に含まれています。糖質の少ない辛口のものがいい。特に赤のほうはレスベラトロールやケルセチン、カテキンといった成分が、AGEを抑えて動脈硬化を防ぎます。
『人は血管から老いる』というように、血管を酸化させずサビから守ることは、若さを維持する秘訣。AGEが蓄積されると、血管も肌と同様に弾力やハリが失われて、硬くもろくなる。すると全身の細胞への酸素や栄養素の供給が滞り、見た目も老けていきます」(同前)
牧田医師は毎晩、夫人と二人でワインを一本飲み干すと言うが、確かに六十六歳(取材時)とは思えないほど顔にハリがある。適量は「1日グラス1~2杯」だそうだ。
「ビール」(350ml)にも、赤ワイン(125ml)と同程度のポリフェノールが含まれ、体を老けさせない作用があるという。
「ビールの原料の1つ、ホップに含まれるキサントフモールやビールの色素(メラノイジン)に、体内の酸化を防ぐ作用があるんです。
ウイスキーや焼酎など、アルコール度数が高い飲みものは、活性酸素が肝臓の細胞を傷つけて体を老けさせてしまう可能性があります。私はアルコールで老化予防ならビールがおすすめ。普段の飲みものなら『緑茶』。ポリフェノールの1種、カテキンが体内の活性酸素を消去します」(森氏)
カテキンはAGEができるのを抑える効果があるという。また緑茶には、抗酸化作用を持つビタミンA、C、Eも含まれている。
人の体内では「糖化と酸化は同時に起きる」(牧田医師)ため、糖化と酸化のどちらかを予防することが双方にいい影響を及ぼす、すなわち老化を遠ざけることになる。