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2018/11/01

「つながりを作りなさい」という脳からの強烈なサイン

 そういった不安感がたとえようもない苦痛を伴うのは、飢えやのどの渇きといった感覚が、何かを食べる、水を飲むといった行動を喚起するように、「つながりを作りなさい」という脳からの強烈なサインであるからだ。そうした気持ちを何とか紛らわせようとしたり、無理やり抑え込もうとすることは大きな健康リスクを伴う。であれば、不安感を抱え込むのではなく、今、第一歩を踏み出してみてはどうだろうか。

 現代人は会社の人間関係などに疲れており、本意ではない人付き合いをおすすめするものではない。その代わり、気の合った仲間とゆるくつながり、気兼ねなく自分なりの楽しい時間を過ごせる空間、つまり、家庭でも、会社でもない第3の居場所(サードプレイス)を作っておくといい。とはいえ、友達や趣味、近所を通じたつながりはハードルが高いという方々にオススメしたいのが、「スナック」である。ふと気の赴くままに立ち寄れる「行きつけ」を作っておくといいということで、バーでも居酒屋でもいいのだが、特にスナックをおすすめするにはいくつかの理由がある。

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 企業幹部向けのコミュニケーショントレーニング・研修を本業としている筆者の仕事相手は9割がオジサンである。そういった方々とお話していると、つながりを作るコミュニケーションという点において、男性はハンデを抱えやすいことに気づく。まず、女性は特に目的がなくとも、コーヒー一杯で面と向かって延々とおしゃべりできるという人も多い一方、男性の場合、コミュニケーションは仕事や飲み会、スポーツ、ゲームなどといった媒介となるものが必要で、何らかの「目的」を達成するための手段でしかないことだ。女性のコミュニケーションがFace to Faceであるのに対し、男性はShoulder to Shoulder (肩を並べるもの)といわれるゆえんだ。

 また、女性が感情を表現したり、共有することを会話の潤滑油にしている一方、男性はそれも難しい。さらに、男性同士で話すと、ついどちらが上に立つのか、「張り合ってしまう」という。いわゆるマウンティングというやつだ。だから、「男友達よりも女友達が欲しい」という声もよく聞く。

 ちょっと寂しいオジサンにスナックが最適なのは、上記のようなハンデの多くを補える最強の舞台装置であるからだ。特筆すべきは「ママ」という女性(マスターであることもあるが)がいること。彼女らが媒介、つまりファシリテーターとして、男性同士のぎこちない「肩越しの関係」を取り持ち、場を回してくれるのが最大の特徴だ。

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 知らない人同士が絆を生む場として最近、「スナック」に出没する女性、通称「スナ女」も増加中という説もある。「一升瓶を抱えていそう」とよく言われながら、実は一滴も飲めない下戸であるが、筆者も将来は「スナック純子」を開店して、オジサンたちのオアシスにできないものかと考えたりもしている。

 そこで、スナックの魅力を発信するスナ女の代表格、五十嵐真由子さんに、東京の味わい深いスナックに連れて行っていただき、そのお作法についてご指南いただいた。