近藤欽司さん

 福原愛、石川佳純ら数多くの代表選手を育てた卓球界の名伯楽。ダジャレの名手で講演会にも引っ張りだこ、「ピンポン暇なし」の近藤欽司元全日本女子監督が、選手の心をつかむコミュニケーション術を凝縮した1冊『魅せられて、卓球』を上梓した。

 元々は勝利至上主義だった近藤さん。指導方法を見直すきっかけは、36歳の時に患った急性肝炎だった。

「それまで健康と顔には自信があったんですけど(笑)、2カ月の入院生活を余儀なくされ、指導者としても結果が出ない時期だったので、気持ちがどん底まで落ちました」

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 入院中に本や人との出会いがあり、以降、「勝つ指導」から「育てる指導」へ、「言葉の力」を駆使し、上から目線ではなく水平目線で選手に声をかけ自信を持たせる指導へとスタイルを大きく変えた。

 技術より前に「心の器を大きくする」指導は芯の強い選手を輩出し、国際試合で“近藤マジック”と呼ばれる逆転劇を幾度も起こした。空前の卓球ブームの今、気になるのは東京五輪の行方だが……。

「僕が監督の立場なら石川、平野(美宇)、伊藤(美誠)ら代表選手それぞれに大会まで表に出さない秘策を持たせますね。想定外のことをやらないと中国には勝てません」

魅せられて、卓球

近藤 欽司(著)

卓球王国
2018年8月8日 発売

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