1ページ目から読む
3/3ページ目
福原愛は「天才」だったのか?
福原は卓球にすべてを捧げてきた。期せずして背負った日本の卓球界を盛り上げるという役割をも十分すぎるほど果たした。福原が卓球に費やした情熱と時間は想像もつかない。どれほど重圧に苦しみ、緊張に震え、敗戦に泣いたことか。
福原は子供の頃、マスコミから「天才卓球少女」と呼ばれた。4歳児が毎日1000本ラリーができたのだから天才と言えたかもしれない。一方で、あれだけ練習をしたら誰でもできるようになるだろうから天才ではないという声も聞かれた。本人にとってはどうでもよいことだ。選手は評論家ではない。自分を信じるしかないのだ。
〈天才はいるか。いる。君だ。君は「自分は世界にたったひとりしかいない天才だ」と思わねばならない。一方では、「他の人もみんな、一人ひとりが天才だ」と思うことのできる心の余裕を残してほしい。「自分は天才だ」と、ほんとうに思えるときは、「天才はいない」ということに人は気づくのである。〉荻村伊智朗(「中高校生指導講座Ⅱ」卓球レポート編集部刊)
「天才卓球少女」と呼ばれた福原が卓球界に残したもの、それは「天才はいない」ということだったのかもしれない。
愛ちゃん、本当にお疲れ様。そして、ありがとう。