石鹸は不要だが保湿剤は使うべき
“保湿”を考えたとき、入浴時に重要なことがもう一つある。保湿用のローションやクリームの使い方だ。北條医師は、石鹸は不要だが保湿剤は使うべき――と指摘する。
「じつは肌が最も乾燥しやすいのは“風呂上り”なんです。浴室から出てきた途端、肌の水分が一斉に蒸発し始めて乾燥に向かいます。それを防ぐためには、風呂上がりのタイミングでローションやクリームを全身に塗るのが重要。できれば浴室内にいるうちに保湿剤を使うのが理想的です」
無責任なことを書くわけにもいかないので、北條医師に話を聞いた日から、筆者は「お湯だけ」で頭と体を洗い、浴室から出る前に保湿剤を塗る――という入浴ルールを自らに課している。石鹸とシャンプー(もちろんリンスも)を使わなくなって1週間が過ぎたが、人から「汚い」とか「臭い」とか「あっち行け」などと言われたことは今のところない。髪の質や量が変わるのが一番気がかりだったが、これも以前と変わらない。北條医師が言っていた「髪がべたつくような感覚」もない。驚くほどに変化がないのだ。
肌の潤いについては年齢が年齢なので、たかだか1週間のテストで「みずみずしくなった!」などとは言えないのだが、少なくとも痒みやかさつきなど乾燥肌っぽい症状は出ていない。
もしかしたらこの先、温泉や銭湯などでは世間体もあるのでシャンプーくらいは使うかもしれないが、自宅では石鹸とシャンプーなしで生きていけそうな気が、密かにしている。
インフルエンザ予防の「手洗い」について
なお、子供のいる家庭では、外から帰ったら「うがいと手洗い」を励行させていると思う。これはインフルエンザなどの予防の上で重要であり、ここで石鹸を使うことには問題ないと北條医師は言う。
「手のひらと足の裏は皮膚の層が厚くできているので、ここだけはゴシゴシ擦っても、あるいは石鹸を使って洗っても大丈夫です。ただ、この時に重要なのは石鹸を使うか使わないか、ではなく、“流しっぱなしの水道水”でよく洗うこと。20秒程度両手をゴシゴシ擦り合わせて洗えば、石鹸はあっても無くてもあまり関係ありません」
お風呂で石鹸もシャンプーも使わない生活に切り替えた筆者の家では、使いかけのボディソープとシャンプーが余剰品となっている。当面これらを帰宅時の手洗いで消費する予定だ。