「テスト」において大きな鍵を握る「処理力」
実は「テスト」において大きな鍵を握るのが「処理力」です。処理力を軸に人を分類すると「処理力が高い(スピードが速い)」「処理力は中程度」「処理能力が低い(スピードが遅い)」となります。これは、良い悪いではなく、その人が最大のパフォーマンスを発揮できるスピードがどこにあるか、という話です。
教え子のJちゃんは「処理力が低い」タイプでしたが、第1志望は問題数の多い「女子学院」。そのため、過去問を解いても制限時間内に半分強しか解けません。しかし時間内に解けなかった問題に、再度チャレンジしてみると、時間をかければほぼ正解できます。これは完全に、処理力と入試問題の不一致です。
このように、実際の入試問題には、問題数の多い学校と少ない学校があります。そこで、学校によって1問あたりにかけられる所要時間が全く異なるという点を知って頂くことを目的に作ったのが「処理力マトリクス」です。
縦軸は、算数1問あたりにかけられる所要時間を示しています。入試問題は一般的に、前半の小問や大問中の枝問前半は比較的短時間で解けて、大問の中の枝問後半は時間がかかるという構成になっていますが、ここでは、それらすべてを平均しています。
「処理力」が必要な学校と「思考力」が必要な学校
ただし、1問あたり同じ約2分だとしても、「女子学院」と「共立女子」では問題の難度が全く異なります。そこも加味して比較するため、どの程度思考力が必要な問題か、を横軸に取りました。「典型題」とは、塾のテキスト例題に載っているような受験算数の王道問題で、乱暴に言えば理解していなくても解き方を覚えてしまえば解けるような問題です。一方、「思考題」は、考え方を1歩、2歩と深めていくものや、いくつもの分野を融合させたものとなり、解き方を覚えるだけでは太刀打ちできない問題です。
また、このマトリクスは算数で作っていますが、処理力を求めるか否かは学校によって傾向があるので、他科目もほぼ同様と捉えることができます(もちろん学校によって、また年度によっても異なります)。
女子御3家の「桜蔭」「女子学院」「雙葉」を比較
たとえば、女子御3家の「桜蔭」(偏差値71)、「女子学院」(同68)、「雙葉」(同67)を見てみましょう。これらの学校はすべて標準よりも「思考題」寄りの学校です。しかし1問あたりの所要時間で見ると、「女子学院」は約2分、「桜蔭」は約3.5分、「雙葉」は約4.5分となっています。御3家の中でも「女子学院」は高い処理力が要求される学校で、スピ―ドの遅い子にはかなり不利になるといえるでしょう。