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元脱北者の記者を取材から外し、騒動に

 この前には、南北高位クラス会談の共同取材チームから統一省担当の脱北者出身の朝鮮日報記者が外された。

「統一省はその理由を『板門店という状況、南北高位クラス会談のさまざまな状況を考慮した』としましたが、まったく釈然としない。

 今年の平昌冬季オリンピックの際に訪韓した玄松月・三池淵管弦楽団団長の取材の際にも政府は平壌の顔色ばかり窺って取材が制限されました。

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玄松月・三池淵管弦楽団団長と朴春男・北朝鮮文化相 ©時事通信社

 南北が首脳会談を行い、朝鮮半島の平和を醸成していくことは歓迎しますが、その過程を法に則った正しい方法で進めなければ、韓国内部の分裂はさらに醜くなり、また、後で問題が起きてくる。

 もっと深刻なのは、平壌宣言の批准に反対するような声を少しでもあげると平和を乱す非国民的とされてしまうような雰囲気さえ出始めていることです。政府には自制が求められます」

北朝鮮が発展した街並みを披露した真の意図

 そんな加速ぎみの韓国とは対照的に、米朝関係は急速にギアが落ちている。

 2回目の米朝首脳会談は中間選挙前後だろうと言われていたのが来年に持ち越される見通しとなり、金正恩労働党委員長に「恋をした」と盛り上がっていたトランプ米大統領も「急がない」とつれないそぶりだ。

 11月8日の米朝実務交渉も北朝鮮のドタキャンで流れ、その数日前には、北朝鮮の外務省傘下の米国研究所所長が、「核と経済の並進路線」を再び口にし、朝鮮総連もこれを「それはただの個人の意見ではない」とバックアップした。北朝鮮事情に詳しい韓国紙記者は言う。

「北朝鮮は、9月の南北首脳会談では平壌の高層ビルが建ち並ぶ、発展した街並みを公開しました。当初は宣伝用とする見方が圧倒的でしたが、北朝鮮では今、国産化が急速に高まっているといわれていて、街並みを誇示したのは、20年近い制裁でも自分たちはこれだけ発展できる、まだ耐えられるということを示唆したのではないかという見方が出始めています。

 米国や国際社会では、経済発展のために制裁解除を切望している金委員長は非核化に応じて、早晩、白旗をあげるだろうという見方が大勢です。しかし、米国がミサイル実験中止などへの見返りをしてくれないのであれば、『われわれもまた核と経済の並進路線にも戻る』というメッセージを送って来ている。つまり、第3の道もありますよ、とほのめかしている。

 こうした状態が過度に進めば、米朝交渉も振り出しに戻る可能性もあり、一気に南北交流を押し進めたい文大統領としてはそれだけはどうしても避けたいところでしょう」

南北は「平和ムード」と言えるのか?

板門店の共同警備区域(JSA) ©iStock.com

「南北は平和ムード一色なのに、そんなことを(ばかげたことを)……」

 何気なしにつけたドラマ(『私の後ろにいるテリウス』)からこんな台詞が流れてきた。武器を法外な価格で売りつけにきたある組織を韓国側が一蹴するという場面だった。

 平和ムード一色、か。こんな台詞が聞かれるところに韓国の今の雰囲気がよくにじみ出ている。

 平和はいいが、例年以上に甘いというみかんは北朝鮮住民の手元にちゃんと届くのだろうか。