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連載池上さんに聞いてみた。

池上さんが考える「トランプ政権のイラン経済制裁再開とイヴァンカ夫妻」

池上さんが考える「トランプ政権のイラン経済制裁再開とイヴァンカ夫妻」

池上さんに聞いてみた。

2018/11/21
note

Q イランへの経済制裁再開、なぜですか?

 今年5月、イラン核合意から一方的に離脱したアメリカのトランプ政権。11月には離脱に伴う経済制裁を全面再開しました。トランプ政権の真意は何なのでしょうか?(30代・男性・会社員)

A イスラエル寄りのトランプ大統領。イスラエルは、反イスラエルの立場を取るイランの存在が脅威なのです。

 トランプ大統領がイスラエル寄りの政治をしていることはご存じですよね。イスラエルのアメリカ大使館を、エルサレムに移したのも、イスラエルの要望に応えたからです。

 イスラエルは、反イスラエルの立場を取るイランの存在が脅威なのです。オバマ政権の下でイランの核開発を停止させる核合意が結ばれましたが、これでは不十分だと主張しています。核合意は核開発を停止させるものであって、核開発の完全放棄ではないからです。

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 イスラエルの安全のためには、何としてもイランに核開発を放棄させたい。そこでトランプ大統領に働きかけたというわけです。

 アメリカにはユダヤ人を中心に親ユダヤ勢力があって、政治家への政治献金などで大きな力を持っています。トランプ大統領の再選戦略の上でイスラエル寄りの姿勢は欠かせないのです。

娘のイヴァンカ氏 ©getty

 プライベートでも、娘のイヴァンカは、ユダヤ人のクシュナーと結婚するに際してユダヤ教に改宗しています。親イスラエルの娘夫婦の言うことを聞くのです。

 しかし、イランへの経済制裁再開は危険な賭けです。イラン国内には、核合意に反対していた保守強硬派が、「アメリカを信用して合意を結ぶから裏切られるのだ」と反発しています。アメリカの核合意離脱をきっかけに、もしイランが核開発を再開したら、中東情勢は混沌としてしまうからです。

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