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食べログの点数、誰も知らない「賢い読み方」<br />

食べログの点数、誰も知らない「賢い読み方」

食のプロが明かすおいしい店発掘術(1)  大崎裕史×伊藤章良×子安大輔

genre : ライフ, グルメ

note

食ベログレビュアーは信頼できるか?

──食べログのレビューを読んでいると、「運営側から指示があって書き直しました」っていう文章、よくありますよね。

伊藤 その代わりかわからないけど、食べログは最近、トップレビュアーをすごく優遇しているように受けとめられています。6、7年前から運営側が、投稿が多かったトップレビュアーと豪華なレストランで食事をしてコミュニケーションを図るなど、一部の人だけと交流を深めていった。運営側が彼らの人となりを知っておくべきだという考え方は間違いではないんでしょうけど、レビュアーは食べログに招待されたと書いちゃうからばれてしまう。それで、食べログから優遇されているレビュアーの評価は本当に信頼できるのかという不信感が芽生えたんじゃないかな。

 あとレビュアーの質の問題でいうと、食べログレビュアーは食べログのなかで書かれていることしか信用していないのが不思議ですよね。閉じられた空間でしか論じないんですよね。

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大崎 なるほど。

伊藤 テレビや雑誌で有名な食ライターや評論家が、ほかの媒体で食べログレビュアーが気に入りそうな店を取り上げても、そこに食べログのレビュアーが殺到するということにはならないんですよ。

伊藤章良 食随筆家。食に関するエッセイ、レビューを執筆。新規店・有名シェフではなく継続をテーマにした著書『東京百年レストラン』はシリーズ三冊目を発刊。BSフジ「ニッポン百年食堂」で全国の百年以上続く食堂をレポート。

子安 食べログ以前からグルメ業界で名を馳せているプロの書き手は、食べログ内では旧世代の人みたいに思われているからなんですかね。

伊藤 そうかもしれませんね。僕は、メディアで食に関する記事を書く目的のひとつは、全国津々浦々にあるおいしいのにあまり知られていない店が日の目を見られるようにすることだと思っているのですが、食べログのレビュアーは仲間しか興味を持ってくれない(笑)。結果的に食べログ内の店の選び合いになっていて、いい店がなかなか発見されにくくなっている気がするんです。

子安 僕は、食べログが点数というわかりやすい指標をもっていることはいい点ですが、反面、点数だけが独り歩きすることで起きる弊害も感じます。点数だけを鵜呑みにして、自分と価値観が合わない店に行ってしまい、評価を低くしてしまうケースも後を絶たないからです。仕組みがわかりやすいがゆえの弊害です。

――たしかに、ひとりだけひどい点数つけているから、なぜかと思って読んだら、いいがかりに近いレビューもありますよね。

子安 そういうのって、ある程度、先行するレビューを丁寧に読むと解決するはずなんです。中身まで読むと、点数は5点だけど嘘くさいとか、逆に1点だけど悪くないなとか、何となく自分にとっていい店かどうかはわかるはずなんですよね。せっかくよく練られたシステムなんだから、自分に合うように使いこなせばいいんだと思います。

伊藤 そう、ちゃんと読めばいい店ってわかるはずなんだよね。