ミニ四駆が子どもたちにウケた理由
そして出来上がったのがミニ四駆でした。ミニ四駆はモーターを搭載した四輪駆動の自動車のプラモデルで、単3乾電池を内蔵して走らせるというシンプルな構造です。これも何度も試行錯誤を繰り返し、数年後に子どもたちに受け入れられるようになりました。子どもたちは、自分の手で作ったものがモーターで走ることに大きな喜びを感じるのです。そして子ども同士で競争できることに大変興味を持ちました。
ミニ四駆を作るには切る、削る、孔を開けるといった基本的な工作の過程がすべて含まれています。子どもたちはミニ四駆を作る中で、カッターやドライバーやドリルなどの工具の使い方をマスターしていきます。さらに自分で考えて改造し、性能を上げていくといった、説明書にはない過程もあります。
ミニ四駆の最初のブームは昭和の終りから平成2年くらいでした。次に平成8年から10年くらいにも大きな波が来ました。最近では常時安定して売れるシリーズとなりました。というのは、東南アジアの国でも大流行しているからです。
弊社では毎週といっていいくらい、ミニ四駆のレース大会を開催しています。そこに行くと、子どもたちが自分で考え工夫して、0.1秒でも早く走らせようとする。ときには大人では考え付かないようなアイデアもあります。やはり子どもは遊びの天才だなと思います。
その際に会場に家族ぐるみでやってきて、チューンナップしている親子をよく見かけます。私たちは子どもに売れる商品ということで、ミニ四駆を開発したつもりだったのですが、大人も夢中になっている。図らずもファミリーで遊ぶものに発展していたのです。これは新鮮な発見でした。こういった楽しさが、デジタルの時代にアナログなプラモデル(=ミニ四駆)を流行らせているのです。