日曜夕方といえば「サザエさん」。放送49年を迎えても変わらぬ人気を誇る長寿番組だが、今年ある変化があった。放送開始からのスポンサー、東芝が降板したのだ。一体何が変わったのか。サザエさん一家に何か影響はあったのか――。(好評発売中の「週刊文春エンタ!」より)

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「エネルギーとエレクトロニクスの東芝がお送りいたします」

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 かつて東芝による一社提供だった時代には、番組冒頭でサザエさんがそう読み上げていたものだが、そんな東芝がついに『サザエさん』のスポンサーから降板。3月25日放送回をもって、1969年からおよそ50年にわたって表示され続けてきた「TOSHIBA」の文字が『サザエさん』の画面から消えた。その代わりに4月1日からは新たなスポンサー企業とともに「Amazon」の文字が。大手電機メーカーが立ち行かなくなり、最新IT企業が取って代わるこの交代劇は、なんとも現代日本を取り巻く時代状況を象徴しているかのようだ。

「1話当たりの時間が8秒短くなりました」

 番組の最後でサザエさんが喉に食べ物を詰まらせる「んがぐぐ」から、現在の「じゃんけん」になったのが1991年。それ以来、サザエさんがじゃんけんで何を出したのかを記録し、分析をしている「サザエさんじゃんけん研究所」の高木所長は、おそらく誰よりも『サザエさん』を観ている人物のひとりであろう。彼はこの東芝の歴史的降板の瞬間をどう感じたのだろうか?

「私が最も強く感じたことは『東芝が一般消費者とは縁がない会社になってしまったこと』です。また、東芝以上に『サザエさん』との結びつきが強いJAバンクも同時にスポンサーから撤退しましたが、こちらは全くと言ってよいほど騒がれなかったことが意外でした。そして、枠に入りきらないほどの後継スポンサー希望があったことで、『サザエさん』の広告媒体としての人気の高さを再認識しました」

©︎AFLO

 高木所長は東芝降板以降の『サザエさん』に“ある変化”が見られるようになったと指摘する。

「スポンサーに関連したネタを積極的に使う番組ではないので、番組内容の変化はないと考えています。ただし、CMの合計時間が30秒増えたために、1話当たりの時間が8秒短くなりました」

 つまり1回の放送は3話で構成されているので、1回につき24秒本編が短くなっているというわけだ。年間の放送回数を50回前後とした場合、1年間におよそ1200秒、分に直すと約20分。もはや1回分の本編がごっそりなくなってしまう計算だ。