毎日新聞編集委員であり、秋篠宮家取材の第一人者として最近では共著『天皇交代』(講談社)を上梓した江森敬治氏が、秋篠宮さまの誕生日を前にした記者会見でのご発言を重く受け止め、寄稿した。
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父親としての偽らざる本当の気持ち
11月30日、秋篠宮は53歳の誕生日を迎えた。来年5月に、兄皇太子は新天皇に即位する。これに伴って、秋篠宮は皇位継承順位第1位の皇嗣となる。それだけに、今回の誕生日会見は、大きな節目を迎える前の極めて大切な会見として位置づけられた。
秋篠宮は記者たちからの質問に答え、皇嗣となる抱負などについて素直に語った。しかし、一番、注目を集めたのは延期となっている長女・眞子内親王の結婚問題についての発言だったかもしれない。
本来ならば今年11月初め、眞子内親王は、大学時代の同級生で法律事務所職員の小室圭氏と結婚する予定だった。しかし、昨年末以来、週刊誌などが小室家を巡る金銭トラブルなどを繰り返し報道。今年2月6日、宮内庁は突然、眞子内親王の結婚を2020年に延期すると発表したのだった。今年夏には、小室氏は3年の予定で米国に留学してしまい、二人の結婚は、より混迷を深めることになった。
結婚延期後、沈黙を守り続けている父親が、娘の結婚について何を語るのか。多くの国民は秋篠宮の発言に注目した。
「これは、二人にも私は伝えましたが、やはり、今いろんなところで話題になっていること、これについてはきちんと整理をして問題をクリアするということ(が必要)になるかもしれません。そしてそれとともに、やはり多くの人がそのことを納得し喜んでくれる状況、そういう状況にならなければ、私たちは、いわゆる婚約に当たる納采の儀というのを行うことはできません」
眞子内親王の結婚についての考えや見通しなどについて聞かれた秋篠宮は、このように語った。私は、この発言に、娘の結婚に対しての父親としての偽らざる本当の気持ちが現われていると理解している。