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島田紳助のリスペクト

 田原総一朗氏や島田紳助氏という個性的な「サンデープロジェクト」の司会者は、高坂先生をどうみていたのであろうか。2人とも『高坂正堯著作集』の月報に寄稿している。

 田原氏は高坂先生について、「皆が全体像を見失ってしまうような時に、ビシッと問題の本筋を指摘して下さった、我々にとって、羅針盤のような存在であった」、「未だに高坂さんに代わる学者のコメンテーターを見つけることができないでいる」と記す。

 島田氏は、「ほんとうに頭のいい人は、頭の悪い人(私)に、わかるように説明できるひとだと、つくづく思いました」、「私がなんの学歴もない不良少年なのに、一人の人間として認めていただいたこと、ほんとうに感謝しております」と綴る。いずれも本心だろう。

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島田紳助 ©︎文藝春秋

 島田氏によると、「温厚そうな高坂先生ですが、車が大好きで、運転は荒いとご自分で自慢しておられましたし、一度鈴鹿にF1を見に行くと決まっていたのに、サンデープロジェクトの出演を依頼され、F1を諦めきれず、本番後、ヘリコプターに乗って鈴鹿に行かれたことがありました」という。

 高坂先生が出演されていた時代のテレビには、学者に対するリスペクトが残っていた。高坂先生が学界だけでなく、テレビでも活躍していたころがなつかしく思えてしまう。

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服部 龍二(著)

中央公論新社
2018年10月19日 発売

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