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2018年のスワローズをスポーツ紙の見出しで振り返る【後編】

文春野球コラム ウィンターリーグ2018

2018/12/09
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怒涛の9月、10月。そして相次ぐ引退報道……

 8月終了時には114試合を終えて、57勝56敗1分。2位を死守して、しかも待望の貯金もできた。そして、9月4日だ! 個人的には今年のベストゲームとなった一戦は「ヤ 奇跡だサヨナラ」とあるように、9回に6点差を追いつき、延長11回に飛び出した上田剛史の劇的すぎるサヨナラ3ランで見事な勝利。台風一過でガラガラの神宮球場だったけど、サヨナラの瞬間の盛り上がりは最高潮に達していた。

9回に6点差を追いつき、延長11回にサヨナラ3ランが飛び出した9月4日の中日戦 ©長谷川晶一

 13日には、満を持して星知弥が復活。日刊スポーツには「巨人戦のための星」と、名作『巨人の星』のロゴを模した大見出しが躍った。そしてこの頃になると、原樹理の覚醒は本物となり、14日の対阪神戦では「原 投げて8回0封 打って6回適時打」と、堂々たる活躍ぶりを見せた。また15日付には「村上初昇格」の小さな記事が掲載されているのも見逃せない。期待のルーキー・村上宗隆は一軍初出場となった16日の対広島戦の初打席で、いきなり「村上初打席弾」という大仕事をやってのけた。

 23日の対中日戦では「石山 初30S」を記録。今年のヤクルトの強さは「石山本願寺」こと、石山泰稚をクローザーに固定できたことが本当に大きかった。記事を読むと、石山が野球を始めたときに最初に与えられたのが、大魔神・佐々木主浩の背負った《22》だという。10月1日付には「松岡と山本引退」という小さな記事。松岡健一、山本哲哉の両ベテランの雄姿もまた、僕らファンの中には鮮明に生き続けることだろう。

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 そして、今もなおショックなのは翌2日に一面で大きく報じられた「由規 退団」の文字。またその横には「成瀬も」と書かれている。由規、そして成瀬善久もまた、ヤクルトを去ることとなった。1日に「ライアンG戦8連勝 CSヤ」と、3年ぶりのCS進出を決めたヤクルトは、2日には高橋奎二のプロ初勝利によって、「2位確 神宮CSヤ」と、CSの本拠地開催を決めたのだ! こうしてヤクルトは75勝66敗2分、貯金9の2位でレギュラーシーズンを終えたのだった。山田哲人は前人未到、3度目のトリプルスリーを達成。近藤一樹は自身初となる最優秀中継ぎ投手のタイトルを獲得。実にめでたい。

 レギュラーシーズン終了後の13日、14日に神宮球場で何かが行われ、誰かが偉業を成し遂げたようだが、残念ながらその記憶はない。ただ、15日付の片隅に載った「ヤクルト一筋34歳 武内引退」という小さな記事のことは鮮明に覚えている。文春野球でも、何度か武内晋一について書いた。ありがとう、武内! さようなら、武内!

今季限りで現役を引退した武内晋一 ©文藝春秋

 ……ということで、今シーズンの振り返りもおしまい。文春野球CSでは3位・横浜DeNAベイスターズとの激戦を制し、日本シリーズではパ・リーグ覇者・北海道日本ハムファイターズを倒し、悲願の日本一に輝いた。1年間、ともに戦った真中満氏、伊藤智仁氏、そして松嵜麗さんに感謝。そして、読者の方々にも心からのお礼を伝えたい。本当にどうもありがとうございました!

 そして、我がヤクルトは、昨年の「96敗」から、まさかのV字回復。しかし、首位・カープにはまったく手も足も出なかった。我々はまだまだ発展途上だ。だからこそ、来季が楽しみで、待ち遠しい。2019年のヤクルトはどんな戦いを見せてくれるのか? 今から僕は、楽しみで仕方ない。

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