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「すさまじい利益相反」なぜ改正水道法が成立したか、関係者発言から考える

暴動、コレラ蔓延、再公営化……他国で相次ぐトラブル

2018/12/08

「すさまじい利益相反」

福島瑞穂 社民党・参院議員 
「まるで受験生が採点する側に潜り込んで、いいように自分の答案を採点するようなものだ」 
ハーバー・ビジネス・オンライン 12月5日 

 そんな中、水道などの公共部門で民営化を推進している内閣府民間資金等活用事業推進室(PPP/PFI推進室)に水道サービス大手・仏ヴェオリア社日本法人からの出向職員が勤務していることが判明した。11月29日の参院厚生労働委員会で社民党の福島瑞穂氏が指摘して明らかになった。 

 今年4月には浜松市が下水道でコンセッション方式を取り入れ、ヴェオリア社日本法人が代表企業となっている運営会社・浜松ウォーターシンフォニーが20年間の運営権を25億円で手に入れている。同社には竹中氏が社外取締役を務めるオリックス株式会社も含まれていた。なお、浜松市のコンセッション導入を強力に推進したのが菅官房長官である(産経ニュース 6月1日)。菅氏と浜松市の鈴木康友市長とは鈴木氏が衆院議員を務めている頃から親交があった。 

 福島氏は「すさまじい利益相反。企業のために役所は働いているのか」と批判(朝日新聞デジタル 12月5日)、さらに上記のように表現した。この指摘に対して菅氏は「国家公務員の服務規律を順守させている。制度上の問題はない」と一蹴した(朝日新聞デジタル 12月7日)。 

 NPO法人アジア太平洋資料センター(PARC)共同代表の内田聖子氏は「竹中氏が政府の諮問委員・評議委員と、企業トップ・企業要人という『二つの顔』をうまく利用し、企業の側に都合のように政策を誘導している」「政府と企業の結託による利益供与とみられてもおかしくはない」と指摘している(ハーバー・ビジネス・オンライン 12月5日)。 

コンセッション方式、提唱し続けたのはこの人

竹中平蔵 東洋大学教授 
「人口20万人以上の全都市にコンセッションを義務づけるのはどうか」 
ロイター 2015年12月21日 

竹中平蔵氏 ©時事通信社

「アベノミクスの『リセット』」と題された竹中氏によるコラムからの抜粋がこちら。2013年のインタビューでも「キーワードはコンセッション」「100年間の運営権を売るとなると、ものすごいキャッシュが入ってきます。それでインフラを造ればいい。造ったらまた売ればいい」とも述べている(日経ビジネスオンライン 2013年2月20日)。 

 高度プロフェッショナル制度、改正水道法、そして入管法改正と竹中氏が提唱し続けてきたことが次々と実現しているようだ。 

 最後に、公益事業の民営化と公共部門への民間の参入を拡張し続けてきた英国では、今年1月に英国会計検査院が「多くのPFIプロジェクトは、通常の公共入札のプロジェクトより40%割高」「25年経験したが、公的財政に恩恵をもたらすというデータは不足」という調査結果を発表。10月29日には、フィリップ・ハモンド財務大臣は「今後新規のPFI事業は行わない」と発言した(ハーバー・ビジネス・オンライン 12月5日)。