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長野久義のヒゲと2019年カープの行方

文春野球コラム ペナントレース2019

2019/03/29
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「ヒゲあり長野」がまた戻ってくる日

 ところで「ヒゲ」という漢字は「髭」(口ヒゲ)、「鬚」(顎ヒゲ)、「髯」(頬ヒゲ)と書き分けられる。同様に現在のカープのヒゲ事情もさまざまだ。中﨑翔太を筆頭として今村猛、中田廉、アドゥワ誠といったブルペン陣は顎ヒゲ族である。これには昨年限りでカープを退団したジャクソンの影響もあるといい、カープ3連覇はジャクソンのおかげ、ひいてはブルペン陣の顎ヒゲのおかげと言っても過言ではない。

 菊池涼介はもみあげから顎につなげるスタイルである。これは廣瀬純(一軍外野守備・走塁コーチ)の影響も大きいが、以前菊池本人は「俺、ヒゲが真っ直ぐではなく、曲がって生えてくるんだよね。それが原因で、にきびみたいになっちゃう」「それがいやだから生やしているというのもある」(『キクマル魂』)とヒゲの必要性を語っていた。

 頬ヒゲの代表格はメヒアである。現在のカープでは最もヒゲ面積が広く、日本一になったら更に伸ばすとインタビュー(リビングひろしま.com)で語っており、プライディ(元カープ)のようになったメヒアを今から楽しみにしたいところでもある。

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 さて、話を長野に戻そう。長野が伸ばし始めていたヒゲは口ヒゲと顎ヒゲのセットであり、「ダンディ」「かっこいい」と概ね好評であった。しかしそのヒゲは、オープン戦中の3月21日に突如として剃り落とされてしまった。これについてスポーツ報知は「長野“巨人魂”!? ヒゲそって打点&安打」という見出しで伝えている(3月21日)。この記事によれば、長野がヒゲを剃った理由は「みんながヒゲヒゲって言うから」ということだが、オープン戦での成績も影響しているのかも知れない。3月20日までの「ヒゲあり長野」の成績は17打数2安打2打点、打率.118。これを気にしてのヒゲ剃りだったのではないだろうか。ちなみに21日以降の「ヒゲなし長野」は7打数1安打1打点、打率.143と、若干ではあるが向上しているようでもある。長野にしてみれば、伸ばせるからと伸ばし始めてみたヒゲが思いのほか大きな話題となり、いたたまれない気持ちになったのではないか。それは女子が髪の毛を切った理由をあれこれ詮索されてウンザリするのと似ているような気もする。

カープのさまざまなヒゲ ©オギリマサホ

 これから2019年シーズンが始まる。我々は長野の活躍を期待しつつ、またひっそりヒゲを伸ばし始めてくれることを静かに見守りたい。長野が気ままにヒゲを伸ばせる時、それはすなわちカープが快進撃を続けている証であろうと思うからである。

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