文春オンライン

「何度も諦めそうになった」 楽天・釜田佳直が語った“655日ぶり勝利”の舞台裏

文春野球コラム ペナントレース2019

2019/05/04
note

辛い時に支えてくれた妻の存在

奥さまの手料理で一番好きなのは「チキンソテー」の釜田選手 ©河内一朗

 そんな釜田選手は昨年12月に結婚を発表した。「奥さまの力も大きかったのでは?」と聞くと、「いつも本当に一番近くで支えてくれていたので、何とか恩返しをしたいと思っていました。今日も球場に来ていたので、勝っている姿を見せる事が出来て良かったです」と満面の笑みを浮かべた。

「Power Of Love」。まさに愛の力である。感謝の気持ちを結果で表現する男の中の男。格好良すぎじゃありませんか。

河内「今までの野球人生の中で心に響いている言葉はありますか?」

釜田選手「本の中に書かれていた『一歩進むな。半歩遅れるな』という小谷正勝さん(現・巨人巡回投手コーチ)の言葉です。リハビリ中、当然一歩進みたい気持ちはあるんですけど、焦ってはいけない。一歩進む事が出来なくても半歩は遅れないという、それぐらいの気持ちを持ってやらないといけない地道な作業でしたから、リハビリしている自分にとって励みになった言葉でした」

ADVERTISEMENT

 辛い時間と向き合ってきた釜田選手にしか分からない世界がきっとある。自分が1軍のマウンドで投げられない悔しさ、思うように動かない肩と肘の痛み、焦ってはいけない状況の中で生まれる葛藤、それらを全て飲み込んだ上で、自分に打ち克ち復活を成し遂げたのだ。

イーグルスファンの大歓声に包まれながらベンチに戻る釜田選手 ©RakutenEagles

今後の「夢」は

 星野仙一監督のもとで高卒プロ入りを果たした釜田選手に、星野氏の一番好きな言葉「夢」について最後に聞いてみた。

釜田選手「今は投げた後、登録抹消になってはいますけど、近い目標でいえば当然中6日で投げられるようになりたいと思っています。一番の夢はこれからクライマックスシリーズや日本シリーズに進出した時に、先発を任せられるピッチャーになることです。短期決戦は先発できる人数が限られているので、そこに入っていって優勝したいと思っています」

 希望を見据えたキラキラとした瞳で具体的なビジョンを語ってくれた。

 4月21日。「手術」という大きな壁と向き合い、「リハビリ」という大きな試練を乗り越えての1軍での先発登板だった。マウンドを降りる時の大歓声は本人も「一生忘れることはできません」と語ったように、我々ファンもあの「復活勝利」を一生忘れることは出来ません。

 どんなことがあっても最後の最後まで諦めずに歩んでいきたい! と思わせてくれた釜田選手にお礼を言いたいと思う。釜田選手、ありがとう! そして、ここからも感動を届けてくれると信じている。

◆ ◆ ◆

※「文春野球コラム ペナントレース2019」実施中。コラムがおもしろいと思ったらオリジナルサイト http://bunshun.jp/articles/11647 でHITボタンを押してください。

HIT!

この記事を応援したい方は上のボールをクリック。詳細はこちらから。

「何度も諦めそうになった」 楽天・釜田佳直が語った“655日ぶり勝利”の舞台裏

X(旧Twitter)をフォローして最新記事をいち早く読もう

文春野球をフォロー
文春野球学校開講!