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「今何してるんですか?」「フリーターです」  ホークスの寡黙な大エース・摂津正さんに会ってきた

文春野球コラム ペナントレース2019

2019/06/16
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攝津さんが持つ喋り手としてのセンス

 番組リスナーからのメッセージはradikoアプリの影響もあって全国から届いている。それを攝津さんが紹介しながら答えていくのだが、先日の放送の中で『夫婦仲良くする秘訣を教えてください』という内容のメッセージが来た。

「俺も教えてほしいわ!」とおどけながらも「極力刺激し合わない事が大事ですね(笑)」と答えた。

 こういうたぐいの番組は野球人だった頃の功績でおんぶに抱っこになりがちだが、攝津さんの場合はラジオパーソナリティーとして非常に大事な「ほどよい私生活の切り売り」というのが無意識にできてしまうセンスがある。話の流れの中でスムーズに夫婦でゴルフに行ったエピソードも紹介していた。

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 野球人・攝津正ではない真っ直ぐな喋り手としての心意気が伝わるのも番組の聴きどころと言えよう。sakana@rkbr.jpに攝津さんへのメッセージを送れば本人に読んでもらえて番組特性ステッカーがサイン入りでもらえる可能性があるそうだ。

番組特性ステッカーを手にした攝津さんと三好アナウンサー ©RKBラジオ

 番組ではラジオなのに釣りロケも敢行される。その臨場感を伝えていくのも魅力の番組だが、何より関心させられたのが、攝津さんが釣りの専門用語を噛みくだいて話していることだ。著者も含めて釣りをしない人も多く聴いている事を彼は意識して喋っている。攝津さんが持つ探究心とセンスによって『ラジオで釣り番組』という無謀感をスッキリ解消してくれているのだ。これはラジオを始めて2か月ほどで簡単に身に付くものではない。

 最後に、この番組を家族は聴いているのかと伺ったところ、「妻が毎週聴いてくれてます。ラジオだけど風景が見えるよ、なかなか良いよって言われました(笑)」と嬉しそうに話してくれた。

釣果を見せる攝津さんと三好アナウンサー ©RKBラジオ

 あんなにも寡黙な大エースがこんなにも明るく笑顔で喋るという意外性。

 現代の野球解説は当たり前に専門用語で“差し込まれた”とか“おっつけた”などの言葉が使われるが、きっと野球に興味のないおばちゃんにも分かりやすい時代に合った解説をする力が攝津さんにはあると著者は感じている。

 そして、いつの日かユニホームを着た攝津正さんの姿を心から見たいと思う。

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