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開幕ベンチスタートからオールスター出場 ロッテ・鈴木大地が明かす「思い出深いあの試合」

文春野球コラム ペナントレース2019

2019/07/17

 千葉ロッテマリーンズの鈴木大地です。この原稿を7月13日のオールスター第2戦(甲子園)が終わった夜に書いています。5回目のオールスター出場。すべてに感動しました。今回はヒットこそ打てなかったのですが、ある意味では一番嬉しかった2日間となりました。

 シーズンが始まった時はオールスター出場なんて考えることも出来ませんでした。必死に1試合でも多くどんな形でもいいから試合に出たいという想いだけで野球をやっていました。だから出場が決まった時に「感謝の気持ちしかない」とコメントしましたが、それがすべてだと思います。開幕スタメン落ちで開幕は出場機会がなく始まった1年の中でたどり着いた夢舞台。特別でした。すごく楽しめました。

宿舎に戻るやすぐにパソコンで原稿作成にとりかかった鈴木大地選手 ©梶原紀章

今年の自分の原点となった試合

 シーズンと同じく一塁、二遊間、三塁、外野と4つのグラブを持参しました。2月の春季キャンプ打ち上げの時に首脳陣から「試合機会を増やすために一塁、二遊間なども行ける準備をしておいてくれ」と言われた際に発注して作ったものです。ただ実際にそれらのグラブを手に本格的に練習に取り組んだのは開幕の数日前から。厳密に言えば開幕スタメンに名前がないことを分かった時点です。

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 それまでは三塁手としてアピールしてライバルと勝負するというつもりで三塁の練習に集中していたのですが、スタメンではないと分かった瞬間から外野も含めて色々な可能性にチャレンジしようと切り替えました。それが色々なポジションの練習にチャレンジしたスタートです。とにかく試合に出る可能性が1%でもあるのであれば試そうと思いました。

 そして迎えた開幕2試合目。この先、どのような野球人生が待っているか分かりませんが、現時点で自分の中でNo.1というほど思い出深い試合となりました。

 前の打者のケニス・バルガス内野手がレフトフライになって代打を告げられて、打席に向かおうとしたら、地鳴りのような歓声が聞こえました。色々な方面から「頑張れ」というエールが聞こえました。場内アナウンス担当に自分の名前がコールされるとさらに声援が大きくなりました。泣きそうなぐらい嬉しかったです。自分の中では開幕から2試合連続でスタメン落ちとなって、連続試合出場が532試合で止まり、すごく悔しい想いをしてこの打席を迎えましたが、それはあくまで僕個人の事で周りの皆様には関係のない事だと思っていました。まさかこんなに多くの人が気にかけてくれていたとは思いもしませんでした。結果的に左前安打を記録したので、さらに嬉しさが増しましたけど、たとえあの場面で結果が伴っていなくても忘れられないぐらい嬉しい瞬間でした。

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