青いチームと青くないチームとの関係性
そのようなことを考えながら野村の成績を見てみると、あることに気づく。野村がこれまで最も多く対戦しているチームは中日とヤクルトで、ともに35試合。次いでDeNAの32試合、巨人の28試合と続き、阪神戦に至っては16試合しか登板していない。ローテーションの巡り合わせもあるだろうが、圧倒的に青いチーム(中日、ヤクルト、DeNA)との対戦が多いのである。交流戦にもその傾向はあらわれており、青いチーム(西武、日本ハム、オリックス)には計16試合、青くないチーム(ソフトバンク、ロッテ、楽天)には計7試合の登板となっている。すなわち野村のこれまでの169登板のうち、青いチームに118登板、青くないチームに51登板している計算になる。自チーム(青くない)と対戦しないということを差し引いても、野村が青いチームと対戦する割合が高いことがわかる。
更に勝率を計算してみると、青いチームに対する勝率は.614(51勝32敗)、青くないチームに対する勝率は.512(20勝19敗)と大きく差がついている。こうしてみると、確かに「青」は野村にとって勝利をもたらすラッキーカラーであり、青いチームからより多くの勝ち星を得るためには自らのチームは青くない方が都合が良いということになる。野村がカープにいてくれて本当に良かった。
そう思うのは私ばかりではない。7月25日に一軍登録され、晴れて国内FA権を取得した野村に対し、「チームにいてくれることが大事」と球団側が慰留の方針を示したことが報じられた。それに応えるように、一軍復帰後の野村は3勝1敗、防御率1.71の好成績を残している。かつて黒田博樹はエースの条件を「安心感と信頼感」(『Number』659号)と述べた。青を味方につけた野村が、安心感のある投球を今後も続けていった先に、「エース」の称号が待ち受けているのではないかと思うのである。
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