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文春野球コラム

わが街に新井さんがやってきた 鶴瓶師匠とぶっつけ本番旅に行けるのはファイターズなら誰だろう

文春野球コラム ペナントレース2019

2019/09/11
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 皆様は「鶴瓶の家族に乾杯」という番組をご覧になっているでしょうか。NHKで月曜の夜に放送されているあれです。笑福亭鶴瓶さんとゲストの著名人が、ゲストの選んだ町へ出かけて地元の人と触れ合うという番組。ゲストはNHKの番組に出演している俳優さんなどの場合が多く、ドラマにもバラエティにもあんまり詳しくない私としては適当に流し見ということがほとんどなのですが、先週9月2日の放送は別でした。

 というのはゲストが珍しくもプロ野球関係者、新井貴浩さんだったのです。そして彼の選んだ行き先は、何と北海道北広島市!

 はい、私の居住地なのでございます。

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 まあ人口6万人足らずの割には無駄に面積の広いところなので、番組ロケ隊の動き回った範囲と私の行動範囲とは全くかすりもしていなかったのではありますが、通常の回とはやはり視聴の際の心持ちは全く違ってまいります。

 いや、しかしこの番組、ほんとに「ぶっつけ本番の旅」なんだなあと改めて実感致しました。町歩き系の番組に出演するのは初めてだという新井さん、ここに来たかった理由は「北広島」という地名それ自体。広島県で生まれて育った身として、昔からとても興味があった……まではいいんですが、それで現地に着いたらまずどうするというのを全然決めてない。市役所とか図書館とか、地名について、また広島県からの入植者について、詳しいことの判りそうな場所に行ってみようかというのも思いつかない。結局そこらへんの情報は番組スタッフがVTRを作ってました(声の出演は落合福嗣さん!)。北広島市の歴史は明治17年(1884年)に広島県から100人ほどが入植したのが始まりです。広島村から広島町になり、そして1996年から北広島市となりました。余談ですが道内の市町村名では伊達市とか新十津川町とかもそういう経緯での命名です。余談終わり。

「北広島」という地名に興味があった新井さん ©文藝春秋

 さて最近の北広島市といえば、何といってもファイターズの新球場建設が最大の話題。新井さんも野球人ですから、そうだ建設予定地を見に行こう、と勇んで出かけて行くものの、当たり前ですが人はいません。着工してからなら別ですが、今はまだ全くただの野っ原です。路傍で途方に暮れる新井さん。ほんとにもう(で、これも結局スタジオでファイターズ制作の完成イメージ映像を観たのでした)。

 そもそも、平日真っ昼間の住宅地で人に出会おうというのがかなりの無理筋なんです。それでもどうにか、何人かと話すことはできてましたよ。禿頭の鶴瓶さんを見て最初「老人会か何かかと思った」という率直な奥さんとか、「野球選手はあぶく銭でだらしない生活してそう」「芸能人はすぐハワイなんか行きたがって」と元野球選手と芸能人を前にして公言するじいちゃんとかと。ハワイ好きの鶴瓶さんはそのあと、ハワイが大好きだというご夫婦に会えて快哉を叫んでおりました。

 大笑いしながら観ているうちに、昔はもう少し野球関係者の出演も多かった筈と思い出し、ちょっとネット検索して数えてみました。番組開始当初からずっと、1年に1回くらいは野球界の人が出ていたんですね。宮本和知さんや佐々木主浩さんなど、複数回の出演がある人もいます。ただ、2012年10月の川藤幸三さん2回目の出演のあとは、昨年9月の三浦大輔さんまで実に6年の空白です。

 更に気付いてしまったのが、延べ15人の野球関係ゲストのうちパ・リーグ出身は村田兆治さんただ一人だったことでした。なるほどなあー……そういう時代だったんですねえ、ずっと。長嶋一茂さんはいる、古田敦也さんもいる、でも福本豊さんも山田久志さんも東尾修さんも呼ばれてません。

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