“有馬記念”

 その言葉の持つ響きに、私を含む競馬ファンの多くはワクワクとソワソワが入り混じったような気持ちを抱く。競馬ファンでなくとも、「有馬記念という言葉は聞いたことがある」だとか、「年末ジャンボ宝くじを買うような気分で有馬記念の馬券を手にしたことがある」という人は少なくないだろう。

1R発走前から競馬場には多くの人が詰めかけた ©まこと

 毎年、世界で1、2位を競う売上(1レースあたり)を記録するレースで、今年の売上は468億8971万4600円。中山競馬場には90,374もの人が詰め掛け、熱狂した。とにかく有馬記念は大レース。新年へと向かう盛り上がりを借りた年に一度のお祭りなのだ。

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 言わずもがな、競馬ファンは張り切る。一年の間に開催されたさまざまなレースを振り返りながら、年の瀬の大一番で本命を打つ馬について考えを巡らせ、当日を迎える。もちろん、年の瀬の浮つきに乗じて「最後くらい夢を見てやるか」と、大金を張る人も少なくない。

圧巻の競馬でファンの度肝を抜いたリスグラシュー

 史上最多、G1馬11頭が出走することとなった今年の有馬記念で人気を集めたのはアーモンドアイ。芝2400mの世界レコードを保有し、次元の違う走りを何度も見せてきた彼女が単勝1.5倍の支持を集めた……ものの、結果は9着。有馬記念を制したのは、今回を引退レースと定めていたリスグラシューだった。

リスグラシュー号を称えるD.レーン騎手 ©Leuker

1着:3枠6番 リスグラシュー
2着:5枠10番 サートゥルナーリア
3着:4枠7番 ワールドプレミア

 2着に入線したサートゥルナーリアにつけた着差は5馬身。騎乗したレーン騎手は「ディープインパクト、キタサンブラックがいても勝てた」「自分が騎乗した馬では一番。世界一になれる可能性があった」と、破顔した。テイエムオペラオーやディープインパクトなど、名馬が名を連ねる宝塚記念・有馬記念の両タイトル優勝馬にリスグラシューも仲間入り。サートゥルナーリアに騎乗していたスミヨン騎手も口にしたように、今回の有馬記念のリスグラシューは本当に「強すぎた」。圧巻の内容で自身の花道を飾った。

有馬記念の結果(JRAサイトより)