ときには業者とオーナーが結託してその事実を隠し、家賃もそのままで新たな入居者を迎え入れることも、残念ながらあります。ただ、後にそれが発覚すると、入居者から損害賠償請求をされたり、業務停止を命じられたりするなどのペナルティを課される可能性があります。
そのため、多くのオーナーは「事故物件であることを告知して、家賃を下げる」という選択肢をとるのです。家賃を下げること自体は法的な義務でも何でもないのですが、現実問題として“事故物件じゃない部屋”と同額で入居してくれる人はほとんどいないため、ビジネス上の判断として家賃を安くしているのです。
コインパーキングにするのも“事故物件あるある”
とはいえ、家賃というのは一種の審査機能を果たしている面もあるので、それを緩めることに抵抗感のあるオーナーも少なくありません。そこで次に考えるのは、合法的に告知義務を回避する手段はないか、ということ。嘘をついたり、事実を隠蔽するのではなく、そもそも告知義務が必要ない形で事故物件を活用できないか……。
その“解決策”の一つがレンタル収納スペースです。
レンタル収納スペースは住む場所ではありませんから、事前にわざわざ「ここは事故物件でして……」と説明する必要がないのです(つまり、宅建業法の対象外なのです)。これと同様の手法として、建物を取り壊してコインパーキングにするというのも「事故物件あるある」です。
ただ、この部屋をレンタル収納スペースにできたのは、たまたまそこが101号室だったから。これが2階だったり、部屋へ至るまでにオートロックを越えなければならなかったりしたら、同様の使い方は難しいでしょう。かといって、建物全てを取り壊してコインパーキングにするほどでもない……といったときに、思い切った形で事故物件を“改造”した例もあります。