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事故物件跡地に建った“30軒の戸建て”の謎 大島てるが教える「かつて豪邸で起きた殺人と、もう一つの悲劇」

事故物件跡地に建った“30軒の戸建て”の謎 大島てるが教える「かつて豪邸で起きた殺人と、もう一つの悲劇」

事故物件サイト運営人が語る“告知義務の回避法” #2

2019/12/28

 すると案の定、数年後に、その土地には新たな家が建ちました。1回コインパーキングを挟んでいて、事件からも数年経っている。しかも、家自体も建て替えられている。その状況を考えると、事故物件であることを告知せずに売ってしまおうと考える業者がいてもおかしくないのですが、ちゃんとした業者であれば、正直に事件のことを伝え、いくらか相場から値引きするという判断になるでしょう。

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なぜか事故物件化したあとに“分割される土地”

 ただ、私が注目したのは、殺人事件が起きたその土地が2つに分けられ、今度は2軒の戸建てが建っていたことでした。もちろん、大きな土地を分割して、そこに2軒、3軒の戸建てを建てるというのは、ビジネス上よくある話ではあります。しかし、事故物件巡りをしている中で、このように「2つに分ける」「3つに分ける」というケースが、最近やたらと目につくのです。

 これはおそらく、次のようなことだと考えられます。たとえば、かつての一軒家で殺人事件の起きた現場が、リビングだったとします。すると、新たに建てられた2軒の内、殺害現場(かつてリビングがあった土地)を含むのは1軒だけ。ということは、もう1軒は事故物件ではなくなり、告知義務の対象からも外れる、と判断できてしまうのです。

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※写真はイメージです ©iStock.com

 仮に、土地を全て使って、かつてと同じように1軒だけ建てていたとしたら、そこは紛れもない事故物件として告知義務が生じ、おそらく売値も安くせざるを得ないでしょう。しかし、2軒に分けたことで、告知義務+値引きは1軒のみに適用され、もう1軒は正規の価格で売ることができる、と考えられるのです。