地方創生が謳われ、インバウンド客が全国津々浦々を訪れるこのご時世、地方の魅力に注目が集まっているように思える。実は、怪談の世界でも、地域ごとの特色があることをご存知だろうか。

 この記事では、特に怪談界で注目を集める、特色のある“怪談都道府県”4県1都を紹介しよう。

怪異が現れる1位はやはり、東京都

 都道府県別に見てみると、怪異が一番現れる都道府県はやはり東京都だ。これは人口の多さに比例して、怪異の存在を語る人が多いことや、都市としての歴史がある土地であるため、古くから多くの怪談が伝わっていることなどが関係している。

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 例えば港区の青山霊園では「タクシー幽霊」が出没すると語られている。この幽霊は名前の通りタクシーに乗る幽霊で、走行中にいつの間にか姿が消え、シートがびっしょりと濡れているといった話、目的地に着いた後、財布を忘れたからと言って家に入っていくも、一向に帰ってこない。そこで家を訪ねると、実はその客は数日前に死んでいた、という話を家族から聞かされるという話が有名だ。

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 千代田区にある「平将門の首塚」にまつわる怪談は未だに豊富なバリエーションが存在するし、豊島区西巣鴨にある、『四谷怪談』に登場する幽霊「お岩さん」の墓は、現在も『四谷怪談』を題材とする演劇や映画を作る際には参拝しないと祟られる、といった噂が流布している。

東京はいたるところが怪異の舞台に

 この他にも、明治時代から昭和時代にかけて運行していた東急玉川線には、深夜になると死者を乗せた「幽霊電車」が走る、渋谷駅ではコインロッカーに捨てられた赤子の霊「コインロッカーベイビー」が自分の母親を待っている等、東京はいたるところに怪異の活躍の舞台が設定されている。

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 また、同じく東京都に数えられる伊豆七島には「海難法師」という妖怪が新年に現れると伝えられている。これは江戸時代、島民たちを苦しめていた悪代官が島民に騙され、海の荒れる日に島めぐりを勧められたことで死に、そのまま亡霊と化したもの。命日である1月24日になると伊豆七島に現れると考えられているのだ。近年では、海からやってきた怪異と遭遇した物語がネット上に書き込まれ、怪異の正体はこの海難法師なのではないかという推測が流れた。