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冬でも読みたい「怖い話」

始まりは「知らない人が家にいる」という子供の言葉だった。ある新築一戸建て物件でおきたこと

怪談和尚の京都怪奇譚 「知らない人」#1

2020/01/01

京都・蓮久寺の三木住職のもとには、助けを求める人が絶えない。ポルターガイストに悩まされる人、人形をお祓いしてほしい、さまよう霊を供養成仏させてほしい……。そんな実話や自身の体験など、現代の怪談、奇譚の数々を収めた『怪談和尚の京都怪奇譚』(文春文庫)より背筋の凍る「知らない人」を特別公開。見えない世界に触れることで、あなたの人生も変わる……のかもしれない。

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ある新築一戸建て物件で

「不動産会社を長年していますが、ここまでひどいのは初めてです」と、怯える声で、そう語られたのは、不動産会社社長の仲谷さんでした。

 その横には若い夫婦と3歳のお子さんがおられ、この方がある新築一戸建て物件を買われたことから、事件は起こったというのです。

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 そのご夫婦の話を聞けば、仲谷さんが怯えるのは当然だと納得がいきました。

 目の下に隈ができ、ここ数日寝ていないといった感じの奥さんは、まるで怪談師が語りかけるような口調で話しはじめました。

誰もいない方を向いて話しかける子供

 きっかけは、「知らない人が家にいる」という子供の言葉からでした。最初は、まだ幼い息子の言うことなのであまり気にも留めませんでした。しかし、この日から不思議な事が始まったのです。

 子供部屋で息子が1人で遊んでいた時に、突然、子供の大きな泣き声がしました。私は驚いて駆けつけ、子供を抱きかかえて聞きました。「どうしたの。大丈夫」すると子供は泣きながらこう答えました。「おじさんが来て僕をつねったの」と。

 またある時は、テレビを見ている時でした。「これおもしろいね」と誰もいない方を向いて話しかけているのです。「誰と話しているの」と尋ねると、「おにいちゃん」と答えました。

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 さすがに気になり、夜遅く帰宅する夫にこのことを相談しました。

 夫は、「小さな子供にはよくあることだろう」そう言うので、しばらく様子を見ることにしたのです。しかし、放っておけない事件が起こりました。