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始まりは「知らない人が家にいる」という子供の言葉だった。ある新築一戸建て物件でおきたこと

始まりは「知らない人が家にいる」という子供の言葉だった。ある新築一戸建て物件でおきたこと

怪談和尚の京都怪奇譚 「知らない人」#1

2020/01/01
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買ったばかりの我が家で物が飛び交う音

 話し終えた奥さんは、その時の様子を思い出してか、手が小刻みに震えておられました。ご主人がおっしゃいました。

「外はいつもと変わらない静かな夜でした。その静かな夜に、買ったばかりの我が家では、まだ何者かによって、物が飛び交う音が続いていたんです。その日から私たちは、今も両親の実家で生活しているんです」

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 次の日、仲谷さんと、私の2人は、その家の中にいました。もちろんお祓いをするためです。お経を読もうと、私が用意をしていると、仲谷さんは少しためらうように、小声で話しはじめました。

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絞殺、放火、そして…

「今回の事件があって、以前何かなかったか調べたんですよ。すると、こんな話が出てきましてね。この家を建てる前なんですけどね」

 ここには以前、おばあさんが1人で住んでおられたそうです。そこへ奥さんと離婚して、子供2人を連れた息子が帰って来たんだそうです。ところが、この息子が、お酒を飲んでは暴れたらしく、見かねたおばあさんは、寝ている息子の首を絞めて殺し、家に火を点けたらしいんです。その火事で、孫の男の子と、女の子も亡くなり、自分も後追い自殺をされたということでした。

 ひょっとすると、死んだ今でも、生前と同じく苦しんでおられるのかもしれません。私はこの話を聞いて、数日の間、以前おられたという家族の供養を続けました。 

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 それから1年ほどしたとき、新たな家族が、引っ越してこられたのを見ました。

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始まりは「知らない人が家にいる」という子供の言葉だった。ある新築一戸建て物件でおきたこと

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