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古くからの妖怪が顔を現す県は、岩手県

 古くから伝わる妖怪が度々顔を現す県としては、岩手県も有名だ。

 例えば「座敷わらし」は柳田国男の『遠野物語』に登場することで知られるように、明治時代には既に同県遠野市の人々の間に存在が伝えられていた。子どもの姿をし、住み着いた家に繁栄を、逆に出ていく家には衰退をもたらしたと語られるわらしたちは、近年では岩手県各地の旅館に出没するとされている。しかし、現代の座敷わらしたちは出会った人間に幸せを与える存在としてだけ語られるようになり、家を衰退させるなどのマイナス面はあまり聞かなくなった。わらしたちもまた、現代社会に適応した結果なのかもしれない。

 他にも、遠野市では現在でも「河童」の捕獲が許可されている。遠野市観光協会が「カッパ捕獲許可証」なるものを発行しており、同協会が運営する施設やオンラインショップで購入することができるのだ。また県庁所在地である盛岡市には、岩手県の名前の由来となったという説もある鬼の手形が残された三ツ石神社がある。この手形は、かつてその地で暴れていた鬼に三ツ石の神が二度と悪さをしないと誓わせ、押させた手形なのだと伝えられる。

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現代に入って怪異が急増したのは、茨城県

 岩手県は古くからの怪異・妖怪たちの物語が語り継がれている県だが、逆に現代に入って怪異の噂が増加した県としては、茨城県があげられる。

 特につくば市、その中でも筑波大学は怪談の宝庫として知られ、大学内だけでも数多くの怪異が出没する。

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 例えば「マラソン幽霊」の話。これはかつてマラソン大会でゴールを目前にして心臓発作で倒れ、その無念から筑波大学の男子寮に現れるようになった幽霊だという。マラソン幽霊は真夜中に部屋から部屋を駆け抜けていくため寮生たちはほとほと迷惑していたが、ある寮生が幽霊の走る先にゴールテープを張ってみたところ、念願のゴールを達成できたマラソン幽霊は成仏して現れなくなったとされる。

 他にも宿舎に現れるという、風化しかけた古文書を読むぼろぼろの老人「風化じいさん」の噂が残っていたり、大学で行われた動物実験の結果生まれたのがかの有名な「人面犬」である、という話も語られている。