こんなときだからこそ、 ガムシャラに一生懸命にプレーする姿を
――今の野球界についても聞かせてください。このコロナ禍で解説者も大変な状況では?
憲伸 オープン戦以降、解説者としての仕事はほぼできていない状況なので、生活パターンもすごく狂っていますね。できることといえば、家で過去の野球動画を見るくらいです。ドラゴンズだけのことを考えれば、球団の裏方さんや後輩など電話でのやり取りができるツテがありますので、情報は入ってくるといえば入ってきます。ただ、他球団に関してはそれも難しい。また、裏方さんにしても、「選手を感染させるわけにはいかない」と、皆さん細心の注意を払っている状況ですから、こちらもそのことにはちゃんと気を配ってやり取りをする必要があります。
――今後開幕しても無観客開催が前提とされ、取材や報道体制も制限されるかと思います。そのなかで、解説者としてどのようなスタンスでいこうと考えていますか?
憲伸 YouTubeと一緒で、“明るい解説”を目指していきたい。オープン戦で無観客での解説は既に経験したんですが、本当にやりづらいんです。本来なら球場中が大歓声で包まれるはずの場面で、僕ら放送ブースだけ盛り上がっている。「あれ?」ってすごく違和感を感じました。でも、それにも慣れていかなきゃいけない。むしろ、ファンが盛り上がっているイメージをしっかり持って、なんなら実況アナウンサーのような意識でどんどん言葉を畳み掛けるような、そんな解説をしていきたいですね。
――そんななかで、選手に期待したいことは?
憲伸 甲子園大会もなくなり、プロ野球でも交流戦とオールスターが中止と、野球界全体がまさに前代未聞の状態です。でも、こんなときだからこそ、開幕したら例年以上の注目を集めるはず。野球ファンはもちろんのこと、普段野球を見ない人たちも注目してくれるかもしれない。そんな意識をもって、野球の凄いパフォーマンスだけでなく、ガムシャラに一生懸命にプレーする姿を見せて欲しい。きっとそれって画面を通してでも伝わると思うんです。とくに今年は甲子園大会もないわけですから、プロ野球が代わって、球児のような最後まで諦めないプレーを見せて欲しいです。
――ドラゴンズの選手で気になるのは?
憲伸 投手でいえば、2年目の梅津晃大。彼は投球そのものだけでなく、闘争心がいいんです。派手なガッツポーズを決めたりとアクションもある選手なので、チームメイトもファンも一緒になって一喜一憂できる選手だと思います。そして野手なら2年目の根尾(昂)、新人の石川昂弥や郡司裕也。彼らのような若手やルーキーがレギュラーを奪うような姿を期待したい。今年は試合数が少ないわけですから、チームに勢いをもたらす若手選手が鍵を握ると思います。
――その意味でも、ルーキーYouTuber川上憲伸に期待しています。
憲伸 カットボールのような切れ味のあるトークを……というと、なんかちょっと硬いですけど、面白いエピソードトークも含め、硬軟織り交ぜた企画をどんどんやっていきます。また、今後はチャンネル収益の一部を選手会でも支援していた「新型コロナウイルス感染症:拡大防止活動基金」に寄付する予定です。野球界にできることはないかを自然と考えられる……そんなチャンネルにしていきたいですね。
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