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事故減少は収入が減少
全国的に交通事故の発生件数が減少傾向となる喜ばしい状況となっているが、こうした状況について「困った」とこぼす弁護士がいる。東京都千代田区の都心の一等地に事務所を構え、交通事故の保険金関係の事案を手掛ける弁護士が実情を明かす。
「交通事故が起きると、通常は損保会社が損害額を査定して交渉を進めることになるが、ときに被害者側が、加害者側に法外な金額を請求するケースもある。そんな時に、加害者側が加入している損保会社から弁護士の私に依頼がくる。中には『当たり屋』『事故屋』という故意に事故を起こすような人物もいて厄介な場合もある」
そんな損保会社からの仕事が、収入の半分を占めるというが、この数カ月で環境が激変しているという。
「コロナで外出自粛となり交通事故が減少。そのため依頼が少なくなり、収入の激減は間違いなく、切実な状況です」
「交通事故の仕事は常時あって固定収入となっている。飲食店経営者が営業自粛を要請されるなか、家賃負担が問題になっているが、これは弁護士も同じ。今月、来月の事務所の家賃をどうしようかと先行きに不安がある。
弁護士は個人事業主。日銭の仕事をしている。多くの弁護士が同じ不安を抱えていると思う。先日、税理士から『弁護士は事業支援の持続化給付金は必要ないですよね』と聞かれたが、全くそのようなことはない。昨年の一年間の売り上げと今年とを見比べて、給付申請するかどうか考えるつもりだ」(同前)
社会生活に大きな影を落とすコロナ禍。意外な業界にも、その影響は及んでいる。