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――ところでシティポップは、特に韓国での支持率が高いです。韓国におけるシティポップは、どんな存在でしょうか。

パク 先ほども申し上げたように、韓国音楽の中で一部のジャンルは以前から日本音楽の影響を受けているので、韓国人はもともとシティポップの要素に親しみがあるんです。最近、韓国ではそれまで人気だったヒップホップやEDM音楽がやや下降気味。そこで、シティポップが、耳馴染み良く楽しめる“今ドキの音楽”として、韓国で流行の1つになったんだと思います。

 ただ当時のシティポップを正確に知らない人がほとんどなので、ディスコやアシッドジャズであっても、お洒落な音楽はすべて「シティポップ」と呼ばれる傾向はありますね。

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リモート取材に答えるパク・ジンベ社長

 ちなみにMonoTreeの作家たちによると、大手K-POP事務所から「楽曲にシティポップの要素を入れて欲しい」という話がよく出るそうなので、段々とメジャーシーンでも存在感のある音楽になっているのかなと感じます。

J-POPの長所は「蓄積されたアーカイブがしっかりあること」

――パク代表からご覧になって、K-POPとJ-POP、それぞれの良さはどんな点でしょうか?

パク J-POPの長所は、歴史が長く、音楽人口も多いので、蓄積されたアーカイブがしっかりあることだと思います。今回『SOUL LADY』のアルバムを作る時、かなり日本の書籍を買って勉強しましたが、そうしたデータが残っているのがうらやましい。短所といえば、蓄積が強固なだけに、大きな変化への適応が難しい点だと感じますね。

 K-POPの長所は、ネットを通して世界の流行をすぐに吸収する点です。ラテンやトロピカルハウスが流行ればそれをアイドル音楽に使い、ヒップホップが流行れば一気に吸収したり。韓国は色んな具材を混ぜて食べるビビンパが美味しいですよね。音楽もそれと同じかと(笑)。

YUKIKAさん

――最近、K-POP界で活躍する日本人がぐっと増えていますが、どのように見ていますか?

パク 日本の方たちが韓国音楽を通してグローバルに活躍することは素晴らしいと思います。ただ、彼ら彼女らが名前以外は韓国人と全く変わらないほどに“K-POP化”されていることに、もったいなさも感じます。グループの場合、難しいのかもしれませんが。日本人に限らず、出身国の特色を活かしたメンバーのいるチームが出てくれば、もっと面白いのではと期待しています。

――今後YUKIKAさんを、どのように育てて行きたいですか?

パク “寺本來可”という1人の人間として、韓国でしっかり生きていきたいという本人の目標に沿えるように、良い音楽を作り、サポートしてあげたいです。

 日本の素晴らしい文化を、YUKIKAを通してさらに届けられるといいですね。今後YUKIKAも竹内まりやさんのように、長く活躍できるアーティストになってくれたらと思っています。