球団史上初の開幕から4カード連続勝ち越しを決め、絶好調の東北楽天ゴールデンイーグルス、強力な先発投手陣がしっかり投げ、打つべき人が打つのだからそら強いに決まっている。僕がTwitterで呟く「負ける気がせん」という自分自身を鼓舞するセリフもホントに負ける気がしないとなると呟きにくいものだ。
しかし、野球はそんなに甘くない。絶好調、茂木栄五郎が違和感を訴えスタメンからひっこんだ辺りから、1週間勝ち星を挙げることができなくなってしまった。嫌なムードが立ちこめようとしたそんな時に二軍から未来のスーパースターが現れた。高卒2年目の黒川史陽選手だ。彼は近い将来楽天、いや球界を代表するスーパースターになると僕は信じている。石原さとみも嫉妬するぽってりした唇に、腹話術のお人形に負けないくらいのパッチリお目目。その可愛らしい顔に相反するバッターボックスでのふてぶてしいまでの落ち着きはとても高卒2年目とは思えない。左打席から引っ張りこんだ打球は枡田慎太郎の再来か?
いっこく堂氏が新しく黒川人形を作ったなら是非やっていただきたい。
「ヘッドが遅れて出てくるよ」
何の話や……。
スーパースターになる男はこういった強運をもっている
4月16日、一軍にあがると東京ドームでのファイターズ戦に即スタメン出場。
しかも決勝点となるタイムリーを放ちヒーローに。さらにこの日は十代最後のバースデイイヴ! スーパースターになる男はこういった強運をもっている。もってる? もってるなら誕生日にヒーローになるのでは? いや違う、これはただの前夜祭。
そうこの男、二十歳の誕生日を田中将大日本復帰登板の日に重ねてきたのだ。
残念ながら田中将大投手のレギュラーシーズンの国内連勝記録は28で止まってしまったが、この記念すべき日にチーム唯一の打点を挙げたのも、黒川史陽だった。そしてその次の日もダメ押しのタイムリーを放ち、一軍に上がってから全試合打点とカード勝ち越しをチームにもたらした。
思えば智弁和歌山時代もそうだった。第90回選抜高校野球大会準々決勝・創成館との試合。互いに点を取り合い延長戦へ、10回表に1点を取られ裏の攻撃も二死1、2塁。彼に打席がまわる。智弁和歌山アルプスからは名物応援曲のジョックロックがいつもりより速いテンポで演奏され、球場の雰囲気も最高潮というところでカキィーン! 打球はレフトの頭を越え逆転サヨナラタイムリー!
次の準決勝東海大相模戦では8対10と2点リードされた試合終盤8回表2死満塁で同点タイムリー、延長10回には2死2塁から試合を決めるタイムリーを放つ。
4月17、18日の日ハム戦2試合もそうだったが全てツーアウトの場面で決めている。
スーパースターとはここぞの場面に出番がまわってくる強運だけでなく、その土壇場でしっかり結果を残す力ももっているのだ。