「令和の大打者」になる岡本にあえて求めたいもの
一方の岡本も、2018年シーズンの打撃には柔らかさがあった。さらに、本塁打を積み重ねていける打撃スタイルだった。この姿を突き詰めていくのであれば、自主トレ等で内川に弟子入りや指導を受けることも、一つの手段だろう。
駆け出しから台頭までの2016年から2018年にかけて、岡本の打撃スタイルには内川や谷佳知のような柔軟さがあった。まさに、打撃スタイルにおける「柔」と「剛」の最適バランスがとれていた時期だった。
2019年からは、強引さやトップの作りが遅い打席が目立っている。特に、トップが遅れる悪癖を解消し、対応できるようになることが復活への条件だ。この課題が克服できない限り、エース級の投手を打ち崩すのは難しいだろう。
今回の対戦カードではおそらく鈴木が、岡本に対して4番打者としての実力の差を見せつけるだろう。4月9日の菅野智之と大瀬良大地の投手戦では、鈴木は菅野から難なくホームランを放った。接戦で高いパフォーマンスを残してこそ、トップクラスの選手の実力、視座の高さが伝わるというものだ。だからこそ、岡本にはこの記載内容を覆すような奮起に期待したい。
今シーズン、原巨人が3連覇を狙うためには、坂本や丸佳浩といった中軸の活躍は必須だ。さらに、岡本が勝負所でチームを勝利に導く打撃ができるかも必要条件になってくる。
昨シーズン序盤の岡本は、かつてのアレックス・ラミレスのように勝負所でクラッチ性が光っていた。そのため、首脳陣からその役割を求められているに違いない。それも踏まえて、今シーズンはさらにレベルアップした形で、圧倒的な成績や風格を求めていきたい。
余談だが、岡本は往年の巨人のスター選手のように「4番・サード」として育成されている。違う世界線で見ると、ユーティリティで長距離砲として育つ未来もあったに違いない。ユーティリティ性を持った選手であれば、各選手の起用法にも幅が広がる。さらに、選手としても引き出しが増えていくこともある。だからこそ、このような起用法も見てみたい。
「主砲・岡本和真」としての現在地は、広島の鈴木やヤクルトの村上宗隆といった選手に劣るのは否めない。しかし、岡本にとって本当の勝負はこれからだ。
巨人ファン、一選手のファンとしても、岡本が「チームを勝利に導く打者」に成長して、2020年代のプロ野球を盛り上げてほしいと願っている。
◆ ◆ ◆
※「文春野球コラム ペナントレース2021」実施中。コラムがおもしろいと思ったらオリジナルサイト http://bunshun.jp/articles/44428 でHITボタンを押してください。
この記事を応援したい方は上のボールをクリック。詳細はこちらから。