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「集中することがすごく大事だと長谷川さんに言われました」

 そんな中村宜選手の純粋さは、プロの世界で吸収力の高さとしても生きているように思う。コーチや先輩からの助言をしっかり受け止めて一生懸命練習に取り組んでいる。

 2、3軍の試合で状態の良さを見せている現在は、速いストレートをしっかり打ち返すことと、「集中力」を保つことを意識しているという。

打撃練習中の中村宜聖選手 Ⓒ上杉あずさ

「集中することがすごく大事だと長谷川さんに言われました」

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 と、ここにも長谷川勇也選手が登場! 結果を出し始めた若鷹に取材をすると「ハセさんが……」と長谷川選手に助言を受けたことを明かす選手が多くいるのだが、中村宜選手のもとにも「ハセさん」が降臨していたのだ。

 中村宜選手がたまたまお風呂で長谷川選手と一緒になった時のこと。お風呂に浸かりながらバッティングの話になったという。湯船と長谷川選手の打撃論で心身ともに熱くなると、「今からバッティング行こうや」と長谷川選手に誘われ、室内練習場へ。練習後の汗を流しにお風呂に行ったはずなのに、再び汗をかきに行ったのだった。これぞバッティングを追究し続ける職人の姿なのだろう。技術的アドバイスのみならず、中村宜選手はそうした先輩の姿にも刺激を受けている。

「集中力」の大切さについては金星根(キムソングン)コーチングアドバイザーにも説かれたという。韓国で野球の神様“野神”の異名を持つ金アドバイザーは、2018年にホークスに入団。最初の2年間はファームを任されていた。中村宜選手は金アドバイザーを慕い、春季キャンプ中の夜は金アドバイザーの部屋で“おかわりキャンプ”を張っていた。

 中村宜選手は「最初は何者なんだろうと思っていたんですが、調べたら野球の神様って書いてあってビックリしました!」と振り返る。3軍の韓国遠征時には、金アドバイザーにサインを求める現地ファンの熱狂を目の当たりにした。そんな凄い方にマンツーマンでたくさん練習に付き合ってもらっているのだと改めて嬉しく思った。韓国遠征中の夜も、宮崎キャンプでの夜も、金アドバイザーの部屋でひたすら2、3時間素振りをする日々を過ごした。金アドバイザーには「集中力=体力」と説かれたという。「学んだ事を素直に聞いて、それをやり続けられる子。頑張り屋さん。社会を知らん分、それが良さにもなるのかな」と当時、金アドバイザーは話していた。金アドバイザーの教えにも一生懸命取り組み、バットを振る体力も付いてきた。

 子どもの頃は大学生のお兄さんたちに可愛がられ、プロに入った今も偉大なコーチ陣、先輩たちからたくさんのことを学んでいる。そんな愛されキャラな性格が、一人のプロ野球選手として成長するための強みになっているように感じる。中村宜選手を見ていると「童心忘れるべからず」という言葉が浮かぶ。野球を始めた子どもの頃のキラキラした気持ちを今もしっかり持ち続けているように見えるから、私も勝手ながら親のような気持ちで応援したくなるのかもしれない。素直に吸収してきたことが少しずつ結果に出始めた3年目。今年こそ飛躍の年になりますように。

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