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「動物に例えると彼はネコです」高橋慶彦さんが語る、菊池涼介は何がすごいのか

文春野球コラム ペナントレース2021

2021/07/14
note

動物に例えるなら、ネコがプレイしてるような感じ

 あと、これは言うまでもありませんが、彼の守備は天下一品です。彼の守備を見ていて思うのは、身体の逃がし方が上手いですね。地面を使わないで、身体のひねりで送球している。普通はボールに向かって飛び込んで、地面を足でつかんで投げるんですが、逆に足を逃がして、あるいは滑らせて、その勢いでボールに力を加える。彼の守備を思い起こすと、送球後に転がってるイメージが強いですよね? そういうことなんです。地面から力をもらわずに、倒れそうになった状態から捕って、空中で身体を上手くひねって送球する。身体の中で送球の力を作り出してるんですよ。

 ちなみに、過去の選手との比較のようなことを聞かれることがありますが、正直、同じタイプの選手はいません。あそこまで身体を上手く使ってる選手はいないです。というより、あれだけクルクル回ってるセカンド、いないですよ。本来セカンドは、ああいうプレイスタイルのポジションじゃないですから。分かりやすく言うと、本来なら捕るだけで充分、とてもじゃないけどそこから送球動作になんか入れないようなボールを彼は送球しているんです。外野に抜けるような球に追いついて、しかも捕って、さらに投げる。正直、あそこまでの選手は他にいませんね。

 そう考えると、極端な話ですが、もし氷の上で靴を履いてプレイしても、彼はちゃんと送球できるんじゃないかと思います。僕や他の選手だとこけてしまうけど、彼はこけそうな状態を利用しながら身体を上手く使い、ボールに力を加えて投げられる。あとは地面との距離が近いところで飛んでいる。低いところで飛んでいるから、送球後にすぐ転がれるし、それこそそのまま落ちてもケガをしない。そういう意味で言うと、彼は地面と仲がいいんだと思います。地面をどう使ったらいいか分かっているんだと思います。動物に例えるなら、ネコがプレイしてるような感じですね。ネコがジャンプする時って驚くほど身体が伸びるし、驚くほど身体をひねるでしょ? まさにあれ。菊池君はネコ科ですね。

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 そんな菊池君ですが、僕のツイッターでも書かせてもらったとおり、8日の試合の打席で顔を顰(しか)め、翌日の試合で途中交代。次の試合は出場しませんでした。カープにとっても球界にとっても大切な選手なので、ケガのないよう、シーズン終了まで元気に明るくプレイをしてほしいです。あと、最後になりますが、現在、苦しい戦いが続いているカープ。とにかくファイトです! OBとして、カープの奮起に心から期待しています!

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