みなさんこんにちは。東京ヤクルトスワローズ広報部の三輪正義です。長かった夏休みももうすぐ終わり、小中学生のみなさんや親御さんは今ごろ夏休みの宿題で、てんてこ舞いになっているころだと思いますが、いかがお過ごしですか?
つば九郎は「あきらめろ!」などと言い、僕自身、小学生のときは宿題を提出した記憶が曖昧な男ですが(当時の先生すいません)、我らが高津臣吾監督に公式アプリ動画「選手に聞いてミルミル」で夏の思い出を聞いたところ「俺は8月31日に夏休みの日記を一気にやった。日記は一日でできる!」と豪語していました。インタビューした選手やコーチのほぼ全員が野球の話しかしないのを察して、自ら宿題の話を持ち出してくれた監督は、さすが勘どころも要領もピカイチです。ぜひ参考にしてみてください。
3人のメダリストがチームに還元してくれるもの
さて、オリンピックも無事終わりましたが、我がスワローズからは3人のメダリストが誕生しました。日本代表侍ジャパンの山田哲人、村上宗隆、そして銀を獲得したアメリカ代表のスコット・マクガフです。侍ジャパンは当然金メダルを取るとは思っていましたが、フタを開けてみれば一つも簡単な試合はなかったです。スワローズを代表して、国を背負って、野球をやる重圧とはいかほどのものか……。
決勝が終わった後の山田の表情にそれは現れていたと思います。オリンピックというのは野球を普段見ない人、山田や村上を知らない人からもいろいろと期待や重圧をかけられるものです。今回は自国開催でしかも、コロナ禍でテレビ視聴する人が多かった。雰囲気というものは周りが作るものなのでしょう、初戦のドミニカ戦なんか、無観客なのにガチガチ、テレビ解説をしていらした宮本慎也さんからも緊張感が伝わってきました。
そのなかで村上は8番という、恐らく人生初の打順で自分の与えられた役割をきっちり果たしました。初戦のドミニカ戦で2打点、決勝のアメリカ戦では決勝本塁打の活躍。彼は21歳ながら4番に座り、スワローズでは常にどうやったら勝てるのかを考えている男ですが、8番という打順を与えられ、より状況を考えて打席に入っていたのではないでしょうか。強気なスタイルが売りの彼ですが、この経験で選手としての幅ができたに違いないと思います。
MVPに選ばれた山田はさすがです。彼も来年で30歳。今年はキャプテンを志願して、自分を変えようとしていました。このオリンピックで相当な刺激を受けたはずです。チームキャプテンとして、それを「還元」と言ってはおかしいかもしれないけれど、若手に率先して伝えてほしいと思います。マクガフを含めたメダリストがそうしてくれたらスワローズはもっと強くなるはずです。そうそう、世間的にはいろいろナーバスな問題もあったりして、僕はメダルの現物を見ていないのですが、ファンのみなさんと一緒に見る機会ができないかなぁとも思っています。まだアイディアの域を出ないですが、オフのファン感謝デーとかどうでしょう?
生まれて初めて五輪をじっくり観て、衝撃を受けたこと
これまで野球しかしてこなかった僕。人生でこんなにオリンピックを一生懸命見たのは初めてなのですが、驚いたこともたくさんありました。まず第一の衝撃は、前述の解説の宮本慎也さんの、選手に対する励ましや、応援がテレビから聞けてつい惹き込まれたこと(笑)。
次に、同じ山口県出身ということで卓球の石川佳純選手とともに、応援していた柔道の大野将平選手(実はこの2人、同じ幼稚園だったんです。僕は違いますが……)の言葉です。今回73kg級で金メダルを獲得し、リオ大会に続き2連覇を達成した彼が、延長死闘を終えたあとにインタビューで発した「(東京五輪開催の)賛否両論があることは理解しています。ですが、我々アスリートの姿を見て、何か心が動く瞬間があれば本当に光栄に思います」という言葉です。
振り返ってみると、周りも安易に「僕のプレーで勇気や感動を与えたいです」というような言葉を発していたように感じます。僕を含め、あれは選手側からの押し付けではないかなと、頭を殴られたような衝撃を受けました。金メダルを取るためにきっと365日休まず努力してきたはず。コロナ禍になっていろいろ言う人も増えてきたと思うけど、そんな人にも配慮を見せる言葉。すごくいい表現をする人だと思いました。僕もインタビューを受ける側からする側になりましたが、自分に置き換えて考えると、非常に勉強なったと同時に、そんな言葉を引き出せたらなぁ、とも思っている自分にも気づかされた瞬間でした。