ホークスの新ユーティリティープレイヤーといえば、「背番号36」牧原大成選手ではないでしょうか?

 皆さん初めまして。僕は福岡のよしもとで芸人をやっております芸歴3年目カーネギーのさわとおると申します。

カーネギー

 じつは、熊本県城北高校出身で牧原さんの1つ下の後輩になります。牧原さんが高校3年時の最後の夏、牧原さんはセカンド、僕は2年生ながらサードのレギュラーとしてプレーさせて頂きました。

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 現在はコロナ禍と言う事もあり中々お会いすることはないですけど、以前はオフの日はお金のない若手芸人の僕に「旨い物食わせてやる」と良くご飯に連れて行ってくれる優しい先輩です。そんな牧原さんは高校時代に数々の伝説を築き上げられました。

 後輩だから知る数々の伝説の中から選りすぐりなベスト3をここで紹介させて頂きます。

牧原大成

先輩・牧原大成の「伝説」ベスト3

 まずは第3位「ドラフトの日伝説」

 牧原さんがドラフト指名されたのは11年前2010年10月28日。当時の牧原さんは複数球団のスカウトが時折足を運ぶ注目選手でした。だけど、指名されるかどうかわからない状況でした。

 ということもあり、ドラフト当日の朝は、周りはみんなそわそわ。ドラフトの話をする事はタブー。だけど、当の本人は至って冷静でした。

 その日は全校朝礼で服装検査がありました。常日頃から監督に「野球部は他生徒の模範にならないといけない」と口酸っぱく言われており、服装、身だしなみにはみんな気をつけていました。

 がしかし、この日なんと牧原さん、野球部で一人服装違反をしていたんです。よくよく牧原さんを見てみると、なんと、な、なななんと眉毛をごっそり剃っていたんです。部員はみんなびっくり! 牧原さんの周りに集まり「なんで今日ドラフトの大事な日にそんなことしたんだ!?」と訊ねたところ、さすがプロ注目選手、こう返答がきました。

「指名されて、記者会見に出んといかんけん、カッコよくしとかなんやろ?」

 そう、牧原さんは絶対に指名されると言う自信があったのです! そして見事に千賀滉大投手に次ぐ育成5位で指名されたのですが、会見前その日初めて監督と顔を合わせた牧原さんは今まで見たことないくらい怒られて、うなだれながら記者会見に臨まれていました……。

高校時代の集合写真 ©カーネギー・さわとおる

「甲斐キャノン」の餌食になってしまい……

 続きまして第2位「あれ? キレないの?伝説」

 牧原さんは野球に対して凄く熱い方で、同級生も我々後輩もみんな、監督の次に牧原さんの事を恐れており顔色を窺いながらプレーしていました。

 ある日の練習試合。相手は大分の強豪校!

 この試合には僕も2年生ながら出ていましたが、その時の僕はまだ準レギュラー、結果を残さないとレギュラー番号をもらえない立場でした。

 試合は緊迫した投手戦。0−0のまま迎えた8回裏、僕達の攻撃! ツーアウト満塁のチャンス。僕が三塁ランナー。そして二塁ランナーに牧原さんでした。

 2ボール0ストライクとバッター有利のカウントで3球目! 打者がボール球を見送るやいなや、キャッチャーはすかさず三塁に矢のような球を投げてきたのです。三塁ランナーの僕は帰塁できずにタッチアウト。ミスをしてチャンスを潰してしまった僕は次の守りから即交代。激怒した監督からはベンチからも出ろと外されました。

 試合後、落ち込む僕に近付いてくる牧原さん。「うっわ! 牧原さんにも怒られる」とびびっていたのですが、その時の牧原さんは「どんまい、キャッチャーエグいな、次ミスるなよ」とひと声。

 本当に野球に対しては厳しい方なのですが、この時は何故か優しい笑顔で、優しい口調で、声をかけてくれました。あの時の笑顔は今でも鮮明に覚えています。

 あの牧原さんの言葉と笑顔で、その後僕はもう一度奮起する事ができました。牧原さん達の最後の夏もレギュラーとして試合にでることができました。

 そして、じつはこの試合の相手キャッチャーは、大分・楊志館高校の甲斐拓也選手だったのです。まだプロ入り前の「甲斐キャノン」の餌食に。今となっては、ちょっとした自慢です(笑)。