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やんちゃなロッテから時代は変わり…“大人の井口マリーンズ”はなぜ強い?

文春野球コラム ペナントレース2021

2021/10/25
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井口マリーンズの強さの秘密とは

 比するに井口資仁政権のマリーンズはどうか? メンバーを見渡しても突出して派手な選手はおらず、マーティン、レアード両外国人のパフォーマンスが目立つ程度です。中村奨吾(29)、荻野貴司(36)といったベテランが中心を担っていることもあり、全体として大人しいチームイメージが定着しました。でも試合は強い。20年にしても「よく2位になれたな」というファンの方も多かったのではないでしょうか。21年も投手陣を見ればチーム防御率はリーグ5位(24日現在)。打者陣では開幕以来なかなか4番を固定できず最終的には外国人頼み。毎年故障に泣かされた荻野貴司選手の1番でのフル出場は賞賛に値しますが、チーム打率はリーグ4位(24日現在)。全体として他の5球団と比べて傑出したチームとは思えません。ただし逆転勝ちの数は31(24日現在)でリーグ1位。つまり「ビハインドゲームでリリーフ陣が踏ん張り、後半ここ一番のチャンスで打者が結果を出した」という、強さの秘密が浮かび上がってきます。

 そしてそれを演出したのはやはり井口監督の絶妙なタクトでしょうか。投手の起用に関しては吉井投手コーチに完全に任せた。「連投はさせたくない。でもこの試合勝ちたいから今日も使わせてよ」という監督が多い中で、吉井コーチの考えを尊重して、最後の胸突八丁を迎えるまでは3連投をさせませんでした。実は開幕前、井口監督にインタビューをする機会があり、「佐々木朗希投手の先発デビューはいつ頃ですか」とお尋ねしたら「うーん、8月くらいですかね」とお答えになりました。でも実際は5月16日でした。なんだよ、大嘘だったな(笑)と、そのときは思ったものですが、もしかするとそのあたりも吉井コーチの専権事項だったのかもしれません。

井口資仁監督(右)と吉井理人コーチ

 攻撃陣ではチームとしての相手投手攻略を徹底させたフシがあります。某球団のスタッフから聞きました。「ロッテは例えば”低めを打たない“と決めたら全打者徹底してくる」と。

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 個々に目立った成績を残した選手はいなくても、文字通りチーム一丸で勝ったと言えると思います。51年ぶりのリーグ1位通過~日本一に向けて、頑張れ! “大人の井口ロッテ軍団”‼︎

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