人は敬意を表して、ミラクル岡と呼ぶ。今季ここまで2度のサヨナラ本塁打を記録するなど、前後期制とプレーオフ制を除き、1970年以来のリーグ1位でのリーグ優勝を目指すマリーンズ躍進の立役者の一人となっている岡大海外野手だ。岡がサヨナラ本塁打を打ったナイターは2度。1度目は4月21日のファイターズ戦。これを人は「ヒロミナイト」と呼ぶ。そして2度目は10月15日のホークス戦。こちらは「ヒロミナイト PART2」と呼ばれている。奇跡を起こす男はどのような人物なのか。あえて野球の話ではなく、日常の側面から紹介していきたい。

岡大海 ©千葉ロッテマリーンズ

ハリウッド映画ではなく邦画感動系が好み

 大海と書いてひろみ。「名前を一発でしっかりと呼んでもらえたことはないですね」と苦笑いを浮かべる。高校時代まで野球をしていた3つ上の兄が大介で、親は「大」の字をつけたかったという。大きな海のように。親の想いが込められている。

 私にとって印象的な出来事は一昨年ぐらい前の話。どこかの遠征の帰りだったと思う。帰京の飛行機で私の座席の後ろが岡だった。離陸して時間が経ち、私がウトウトと気持ちよく眠りに入ろうとしているとドンと座席を蹴られたような感じがした。振り向くと岡が真剣に機内テレビでアニメを見ていた。なにを見ているのかを確認すると「キャプテン翼」だった。

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「いやあ、あまりにも懐かしくて、ついつい見ていました」と岡。まさか、自分が翼くんになった気持ちで座席を蹴ったのか? 「それはないです。すいません。ちょっと当たってしまっただけですよ」と恐縮気味に否定したが、彼の天然キャラを考えると、ありえることだし、なんといっても身長185センチのプロ野球選手が真剣に懐かしのアニメをかじりつくように観ている姿は微笑ましかった。

 ちなみにアニメは子供の時から好きだった。「ドラえもんラブの子供でした。声優さんが代わる前から一通り見ていますね」と話す。話題のマンガもチェックをする。「鬼滅の刃」、「約束のネバーランド」などが印象に残っている。

 最近はアニメや漫画を見る機会はめっきり減ったが映画などを見て息抜きすることも多い。泣いたという作品は「湯を沸かすほどの熱い愛」。宮沢りえさん主演の感動の家族ドラマ。夫が蒸発し、中学生の娘がイジメに苦しむ中、突如余命2か月と宣告された主人公が持ち前の明るさで日々を奔走していく姿を描く作品だ。

「何年か前に見ましたけど、忘れられないですね。感動しました」と岡。好きなドラマは「とんび」。妻を失った父親が男手ひとつで息子を育てる親子の絆を描いた感動の物語だ。「家族愛ものに弱いですね。見入ってしまいます」と話す。ハリウッド映画ではなく邦画感動系が好みだ。