税金に保険料、駐車場代……自動車は所有するだけで維持費がかかる「金食い虫」である。

 ただでさえ、この国における自動車関連の税金はドイツの約5倍、アメリカの約30倍にものぼる。固定コストに加えて、タイヤやオイル、バッテリーといった消耗品の交換費用が不定期に生じ、思わぬ出費となって家計を圧迫する。自家用車はさながら「負債」なのであって、「車離れ」も当然のなりゆきなのだろう。

 とはいえ、車なしには生活が成り立たなくなる人も多い。車を所有するからには、維持費の中で、削れるものはできる限り削っておきたいところだ。しかし不思議なことに、「車の維持費をカットする」ことに強い関心を向ける消費者はそう多くない。

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 家電を買うときにはネットで1円でも安い店を見つけようとするのに、車に関する費用はディーラーに促されるまま支払っている消費者は少なくないだろう。技術的なことはわからないが、車は命に関わるものなので、プロの言うことに従っておこう、ということかもしれない。

 もちろん、「わからないことは専門家に」というのは賢明な考えだ。とはいえ、ほんの少しの「調べる手間」だけで、同等のサービスを大幅に安く受けられるケースも多い。車のことはわからなくても、安心面を犠牲にせずに費用を抑える方法は数多くあるのだ。

高額な車検費用を抑えるテクニック

「車の維持費」といったときに、真っ先に思い浮かぶのが「車検」である。日本自動車工業会の「乗用車市場動向調査」(2019年度版)を見ても、「負担感が大きい維持費」として「車検代」がトップの項目になっており、9割近いユーザーが費用負担を感じている。

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 車検の依頼先として、もっともメジャーなのはディーラーである。損保ジャパンの「車検の依頼先」についてのアンケート調査 では、「購入した自動車販売店ディーラー」が全体の6割を占めている。

 もちろん、安心感や保証面のみを考えれば、ディーラーがもっとも信頼できるのかもしれない。しかし、費用の面ではもっとも高くつく選択肢である。