「いつかはホークスの妹分的な存在に……」。九州で女子野球の新たな歴史が動き出した。
2022年1月1日、福岡を拠点に活動する女子硬式野球のクラブチーム「九州ハニーズ」の発足が発表された。立ち上げは女子野球日本代表の川端友紀選手と楢岡美和選手。監督は元ホークス・宮地克彦さんが務める。
「女子野球を発展させたい」その一心で九州の地に
東京ヤクルトスワローズ・川端慎吾選手を兄に持つ川端友紀選手は、2009年に発足した女子プロ野球(現在は無期限の活動休止中)の1期生で、3度の首位打者に輝くなど活躍した。2018年に一度は現役引退を発表するも、翌年からエイジェック女子硬式野球部に入部し、選手兼コーチとして現役復帰を果たした。楢岡選手は幼少期から野球に打ち込み、女子プロ野球でも最多安打、ベストナイン、ゴールデングラブ賞など数々の賞を受賞する活躍を見せてきた。川端選手と同じく2018年に現役引退するも、翌年エイジェック女子硬式野球部で主将として選手復帰。そして、共に去年エイジェックを退団し、新たな挑戦の舞台として九州の地にやってきた。
「女子野球を発展させたい」その一心だった。福岡には現在、社会人の女子硬式野球チームはない。大学まで含めると折尾愛真短期大学に女子硬式野球部があるが、なかなか人数が揃わず、思うような活動ができていないという。「正直、九州・福岡は女子野球が盛んではない」と川端選手も現状を受け止めているが、「誰かがやっていかないと発展しない」と強い責任感と覚悟を持って福岡にやってきた。
2人とも、九州に親戚がいるわけでもゆかりがあるわけでもない。川端選手は「強いて言うなら、私の父が元々ホークスファンで、子どもの頃ダイエーホークスの帽子をかぶっていました」というまさかの告白をしてくれた。もちろん、兄・慎吾選手がスワローズに入団してからは専ら燕党だが、大阪出身の川端選手はホークスが大阪に本拠地を置いていた時代から往年のホークスファンである父の影響もあって、福岡の街には「野球熱が高い」「みんなでホークスを応援している」とそんなイメージを抱いていたそうだ。現に、ホークスは昨季こそ8年ぶりのBクラスに沈んだが、逆に言えば7季連続でAクラス。なんなら4年連続で日本シリーズを制したチームだ。我々福岡人にとって、優勝パレードと優勝セールは毎年秋の風物詩だった。また、「鷹の祭典」や「ファイト!九州デー」といったファンを惹きつける各イベント試合で年々福岡のみならず九州全体を巻き込んでホークスを応援するという構図は強くなっている。