今から1カ月前に、ファンをちょっとザワつかせたニュースを憶えているだろうか。はたまた、それ自体をご存じだろうか。

 ホークスは4月8日、九州を元気にするプロジェクト「ファイト!九州」の一環として、昨年に続いて九州8県・計9種類の伝統工芸とのコラボ商品を発売すると発表した。

 その中の1つが、びっくり仰天するほど「破格」だったのだ。

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170万円の仏壇を球団グッズに

 地元・福岡県の伝統工芸品「八女福島仏壇」が手掛ける、ホークス公式オリジナル仏壇。

 仏壇が“球団グッズ”なこと自体が驚きなのだが、コチラ税込みで1700000円なり。えっと「0」が、1つ、2つ、3つ……数字が7桁並んでいる。そう、お値段は「170万円」ちょうどだ。

©田尻耕太郎

 この「ファイト!九州」は、2016年4月に発生した「熊本・大分地震」の災害復興支援を主目的に発足し、被災地に元気を届ける活動を継続していた。だが、近年は世の中全体がコロナ禍へ。閉塞感のある生活を強いられたり、明るい話題が少なくなったりしたことで、「ホークスは、九州に根差した球団として何をなすべきか」を考えた結果、復興支援に限らず『ホークスが九州を元気にする活動を行うもの』と解釈や規模が拡大され、現在の形に至った。

 活動の象徴といえば、まもなく5月10日にひなたサンマリンスタジアム宮崎で行われる埼玉西武ライオンズ戦を含めた、今季一軍戦全5試合で開催される「ファイト!九州デー」だったり、その試合日に無料で来場者に配布される「ファイト九州!ユニフォーム」(今年は「九州・沖縄各県の県鳥」を球団名の由来である「鷹」とともにグラフィカルに描かれているデザイン)だ。

 やはり野球を通じて元気になってもらうのが一番わかりやすいし、伝わりやすいかもしれない。

 しかし、プロ野球は公共財ともいわれる。ホークスが地元九州のために、地域貢献としてやれることはもっと何かあるはず。その思いと真剣に向き合った1つの答えが伝統工芸品とのコラボだった。

 <長く受け継がれてきた伝統工芸をホークスとのコラボをきっかけに、多くの人の手に取ってもらうことで未来へつなぐことを目的としています。技術やデザインを受け継ぐだけでなく、時代に合わせて変化しながら発展し続けてきた職人たちの思いを乗せ、公式商品として商品化することで、たくさんの人に愛され、伝統工芸の未来への展望となることを信じております>(球団プレスリリースより一部抜粋)

 その理念の中から生まれた九州各地の伝統と技術が詰まった特別なグッズだ。

 とはいえ、170万円の仏壇を球団グッズにするとは、なかなか大胆な発想である。