アリエル、ライデル、ジャリエルの素顔
もちろん、3人の素顔もよく知っている。
「アリエルは謙虚で落ち着いたインテリ、ライデルは物静かでシャイ、ジャリエルはちょっと悪ガキ(笑)。部屋の様子が彼らの性格を表しているかもしれません。アリエルの部屋はきっちり整理されていて、記念のユニフォームなどもきれいに飾られています。そうそう、アリエルはゲームオタクで自宅には大きなゲーミングチェアもありますよ。ライデルの部屋もきれいですが、そもそも物があまりない。ジャリエルの部屋にはアマゾンの箱がワイルドに積み重ねて置いてあります。ジャリエルは会うといつも頭がボサボサなんです(笑)」
冨田さんが住むマンションはバンテリンドームと彼らのマンションの中間地点にあるため、試合後にアリエルが食事に立ち寄ることもしばしば。ちなみに近所にはビシエドも住んでいるとか。「ビシエドとはたまにコンビニで会います。話しかけると気さくに立ち話をしてくれて、本当にいい人ですよ」(冨田さん)。ビシエドはとにかく家族ファーストなので、アリエルたちとプライベートを一緒に過ごすことはほとんどないらしい。
「3人は家族のような存在」
アリエル、ライデル、ジャリエルはいつもドラゴンズと名古屋への愛着を口にしているという。昨シーズンオフ、契約切れで流出が噂されていたライデルだったが、冨田さんはシーズン中に彼の本音を聞いていた。
「“俺はドラゴンズが好きだ。自分を育ててくれたドラゴンズに恩義を感じている。ドラゴンズに残ることを一番に考えたい”とはっきり言ってくれました。それを聞いたときは、すごく嬉しかったですね」
「3人はもう家族のような存在」と話す冨田さん。アリエルもカミラ夫人も冨田さんを「日本のお父さん」と呼び、冨田さんはライデルのことを「イーホ(スペイン語で“息子”)」と呼ぶ。アリエルは寄せ書きサインに「Son of SEIJI(征治の息子)」と書いてくれた。
「できれば、いつまでも名古屋に住み続けてほしいけど、それは僕の勝手な願望。彼らには素晴らしい人生を歩んでほしい。名古屋にいい思い出ができてくれると嬉しいですね」
そう言って微笑む冨田さん。遠く離れたキューバから異国にやってきた若者たちが、孤独に負けず、名古屋の街に溶け込んで野球に専念できるのは、球団関係者、チームメイトだけでなく、彼のような“市井の協力者”の存在がとても大きいはずだ。
キューバと名古屋は1万2000キロも離れているが、人々の心の距離はとても近い。だからこそ、アリエル、ライデル、ジャリエルがこんなにも活躍できるのだろう。
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