とにかく中日ドラゴンズの試合を観るのが楽しい。
野手がいなくなって三ツ間が代打で出てきたけど。
ナゴヤドーム新記録の19失点を喫したけど。
石川駿は二塁を踏み忘れたけど。
その果てに最下位に転落したけど。
それでも、中日ドラゴンズの試合を観るのが楽しい。アリエル・マルティネスがいるからです。
「外国人捕手」という偏見を打ち破れるか、歴史の分岐点にいる
アリエルが何者かは、散々報道されまくっているのでもう説明不要でしょう。7月1日に育成から支配下契約を勝ち取り、3日の巨人戦に初出場、5日に初安打を放ち、球界に久々に登場した「外国人捕手」としてプロ野球ファンから注目を集めているキューバ人捕手です。捕手としての能力は評論家各氏からも折り紙付き、後は一軍で結果を出すだけという段階です。
僕は7月10日、観客を入れた初日のナゴヤドームvs広島戦を観に行きましたが、婚約者のカミーラへ何度もインタビューしたせいで彼女が乗り移ったのか、一軍の打席に立つアリエルの姿を見ただけで思わず落涙してしまいました。
(カミーラが何者かはコチラをご覧ください)
とにかく人気が凄かったですね。アリエルが登場すると、球場のムードが変わるんです。この日はビシエドのサヨナラ本塁打がなければ、ハイライトは“代打アリエル”がコールされた瞬間でした。あの瞬間に、距離のあったグラウンドとスタンドがカチッとはまって一体感が生まれた気がします。
先日出演した文化放送「くにまるジャパン極」でも、パーソナリティの野村邦丸さんから「矢吹さん中日ファンなんでしょ? アリエル・マルティネスの話をしてくださいよ!」と話を振られたのですが、野村邦丸さんは巨人ファン。「人気」ばっかりは育てられないので、他球団のファンからも注目されるこの宝物を、中日ドラゴンズには球団総出で大事に取り扱って欲しいものです。
野球ファンから注目を集める最大の理由は、「外国人捕手」という偏見を彼が打ち破りかけているからでしょう。今後日本球界で「外国人捕手」が当たり前になるかどうか、アリエルの活躍に懸かっていると言っても過言ではありません。本人も「たくさん活躍をして、外国人のキャッチャーを日本でも呼んでもらえるくらい、それぐらい活躍したい」と意気込んでいるので、その自覚はあるのだと思います。「二刀流」に挑戦した大谷翔平もそうでしたが、これまでの常識を打ち破る選手の登場は歴史の分岐点にいるような気分にさせてくれます。来年以降、世界中からNPBに「外国人捕手」が集まってきたら、それは間違いなくアリエルの功績ですね。
ただ、本コラムでは敢えて視点を矮小化して、中日ファンとしてアリエルに望むことを書きます。僕はアリエルに、「中日の育成の星」になって欲しいんですよ。