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“外国人捕手”アリエル・マルティネスに、中日ファンの僕が本当に期待すること

文春野球コラム ペナントレース2020

2020/07/22
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アリエルよ、「中日の千賀滉大」になれ!

 これまで、中日ドラゴンズに育成契約で入団し、支配下契約を勝ち取った選手は何人もいます。が、残念ながらタイトルを獲得するような、他の11球団からも求められるような選手はまだまだ出てきていないのが現実ですし、かつて育成で入団した藤吉優と呉屋開斗の二人は自主退団を球団に申し出ています。これは傍目に見ていて悲しいものがありました。やっぱりどう贔屓目に見ても、中日は育成契約という制度をまだ上手く活用できていないんです。

 それって、やっぱりまだ「育成の星」がいないからだと思うんですよ。間違いなく球界で最も育成契約を活用している福岡ソフトバンクホークスで、育成から支配下を勝ち取った大竹耕太郎はこんな風に話しています。

“大竹は、(中略)「千賀滉大」の存在が、自らの「指標」になったという。「千賀さんも育成4位。僕も4位です。頑張れば、僕も行けるんじゃないかと。いい意味で勘違いさせてもらいました」”(喜瀬雅則「ホークス3軍はなぜ成功したのか?」(光文社新書)より)

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 同じ3桁の背番号を背負っていた、同じ環境で練習していた選手が、球界トップの選手になって日本代表のエースになっている。この事実は育成契約の選手達にとって、本当に心の支えになっているはず。千賀という成功例がいなかったら、ソフトバンクの選手達でさえ心が折れていたかもしれない。中日にも、そんな“成功例”が必要だと思うんです。「1年目に(指導を受けた)小川コーチ、2軍の武山コーチに感謝したい」と話すアリエルが、中日の正捕手としてゴールデングラブ賞やベストナインに選出されれば、今は育成契約の大藏彰人やマルクだけでなく、来年以降入団してくる選手達の指針にもなります。2軍の指導者達にだって励みになるはずです。

 僕はその役割を、同じくキューバ出身のライデル・マルティネスに期待していたのですが、今季アリエルが大外から一気にまくってきました。アリエルの活躍が、外国人捕手だけでなく、実は中日の選手育成にこそ新たな扉を開いてくれる。そんな期待が止まらないんですよ。だから繰り返しになりますけど、中日ドラゴンズの試合を観るのが本当に楽しい。

 繰り返しになりますが、そのためにはまずアリエルが他球団からも“こんな選手が欲しい”と思われることが必須条件です。でも、それも時間の問題かと。初安打を放った5日巨人戦の後、原辰徳監督は記者達にこう話しています。

「バッティングもシュアだしね。まだ彼は若いんでしょ?」

 ほら、原監督は既に興味を示していますから……。

婚約者カミーラとの今後にも要注目です

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