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三浦大輔監督は急いでいても足を止めて…元tvkアナウンサーがベイスターズと過ごした“勉強の日々”

文春野球コラム ペナントレース2022

2022/05/20
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 新型コロナウイルスの影響で開幕が遅れた2020年。過去のベイスターズの勝ち試合に実況・解説をつけて届けたtvkのプレイバック熱烈ライブはありがたいことにたくさんの反響をいただきました。

 その中で唯一、勝ち試合ではない試合を届けたのが2016年9月29日のヤクルト戦。そう。「三浦大輔選手の引退試合」でした。私は視聴者やファンの皆さんのツイートをフリップに書いて紹介する役回りだったのですが、この日のツイートは番組が始まる前から尋常じゃない量。7回、三浦投手がマウンドを降りるシーン、私はもう完全に涙腺崩壊。ゲストのダーリンハニー吉川正洋さんも同じく涙腺崩壊。進行する根岸アナウンサーには多大なるご迷惑をおかけしました。

 ツイッターのTLが「横浜優勝」「永遠番長」の文字で埋め尽くされました。そして#tvk_DBが日本のトレンド1位を記録。17,000件を超えるツイートに胸は熱くなり、また涙があふれ出しました。後日三浦監督には「泣きすぎやで~! でも泣きすぎて面白かったわ!」と言われちゃいましたが(笑)。

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 コロナ禍で先が見えない時に、番長の引退試合がベイスターズファンの心をどれほど熱くさせたのでしょうか。やっぱり番長ってすごいんだ、と感じた瞬間でした。

三浦大輔監督とのツーショット ©瀬村奈月

試合後泣きながら家に帰ったことも…

 2021年。苦しかったシーズン。それでもファンは信じ、応援を続けました。そして2021年は私にとってtvkアナウンサーのラストイヤーでもありました。

 番長こと三浦大輔監督と同じ奈良県で生まれ、番長のライバル校(だと思う)天理高校で野球部のマネージャーを経験。現在ヤクルトの西浦直亨選手は2学年下の後輩にあたります。甲子園のアルプススタンドでアナウンサーの方にインタビューされたことをきっかけに「テレビ局で野球の仕事をする!」と決意しました。

天理高校野球部マネージャー時代 ©瀬村奈月

 大学卒業後、夢だったアナウンサーとして、和歌山県のテレビ局で熱い夏を過ごしました。箕島高校(中川虎大投手の母校)や智辯和歌山(東妻純平選手の母校)、市立和歌山(ドラフト1位ルーキー小園健太投手の母校)などの取材も経験しました。

 2018年。大和選手とともに関西から港町横浜へ。といっても私は決して国内FA権を行使したわけではなく、面接を潜り抜けtvkに転職しました。当時のtvkの面接でも大和選手の原稿を読んだことを今でも覚えています。

 この時の私はプロ野球に関しては完全ド素人。最初は取材もろくにできませんでした。

瀬村「暑い夏を乗り切るために工夫していることは?」
選手「え~っと……」

瀬村「(右バッターの選手に対して)右ピッチャーの時って打席でどんなこと意識していますか?」
選手「そうですね~……」

 などなど、選手を困らせてしまうざっくりとした質問しかできず、試合後泣きながら家に帰ったこともありました。最初の半年間は正直ハマスタに行くと胃が痛くなるほど辛かったです。

 そんな私が毎日欠かさずおこなったことは、

①投手・野手それぞれの試合に関するデータ(防御率や打率など)を毎日つける(私はベイスターズだけでしたが、実況の人は12球団つけていて本当に尊敬します)
②ファームの試合結果をチェックし登録・抹消選手一覧の作成
③ベイスターズ関連の記事はすべて目を通し、気になる記事はコピーしてノートに貼り付ける
④選手やコーチ、監督から聞いたお話をノートにまとめる
⑤他のアナウンサーや記者の方がどんな視点でどんな取材をしているのかをまとめる

毎日欠かさずつけていた試合のデータ ©瀬村奈月

 私のリュックはいろんな資料やノートが入っていたのでとっても重く、いいトレーニングになっていました(笑)。大人になってまさかこんなに勉強するとは思わなかったのですが、毎日データをつけて選手やチームのことを知っていくと、ハマスタに行き試合を見ることがいつの間にか楽しくてたまらなくなっていました。

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