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「今後もドラゴンズの石森大誠を応援し続けます」火の国サラマンダーズから届いた1通の手紙

文春野球コラム ペナントレース2022

2022/06/11

「熊本の独立リーグ、火の国サラマンダーズに、石森大誠っていう良い左ピッチャーいるらしいですよ」
「へえ、ドラゴンズに来るといいですね」

 こんな会話をしていたのがちょうど1年前。石森の名前を出したのは筆者カルロス矢吹、受ける相手は文春野球にも執筆されている加賀一輝さんだった。ドラゴンズファン同士、僕らはしょっちゅうこんな感じで有望アマ選手の情報を交換している。

 その石森大誠は、昨年のドラフト会議で3位指名を受け、中日ドラゴンズに入団したのは皆様ご存知の通り。結果的に、ドラファン2人の願いは現実のものとなった。

石森大誠 ©時事通信社

 さて、なんせ「石森ドラゴンズ入団」の言い出しっぺは僕だ。一方的ながら思い入れもある。熊本もさぞ燃えていることだろう、なんせチーム名が火の国サラマンダーズだし。と思ってドラフト会議直後に球団ホームページをチェックしてみたところ、なんと既に「石森大誠ドラフト指名記念Tシャツ」なるものが販売されていた。迷うことなく購入ボタンを即クリック。まだドラフト会議の余韻冷めぬ数日後、購入した品が熊本から送られてきた。

 丁寧に梱包された段ボールを開封し、驚愕した。と同時に感動した。Tシャツには、火の国サラマンダーズからこんな手紙が添えられていたからだ。

手紙とTシャツ ©︎カルロス矢吹

「THANK YOU 石森大誠投手【中日ドラゴンズ3位指名】

 この度は、石森大誠ドラフト指名記念Tシャツをご購入いただき、誠にありがとうございます。

 2021年10月11日(月)プロ野球ドラフト会議におきまして、見事火の国サラマンダーズ石森大誠投手が中日ドラゴンズより3位指名をいただきました。

 多くの皆様から祝福のお言葉を球団にも届いており、大変嬉しい気持ちでいっぱいでした。本当に暖かいご声援、誠にありがとうございました。

 独立リーグには夢がある。NPBという夢を背負って野球をしている選手たちを今後とも応援していただければと思います。

 そして、火の国サラマンダーズは今後も石森大誠を応援し続けます。

 皆様、温かい応援のほど、何卒よろしくお願い致します。」

(原文ママ)

 独立リーグ球団のグッズも好きなのでよく購入するが、手紙を同封していたことなんて初めてのことだった。印刷されたものだが、文面からも本当に選手のことを想っていることが充分に伝わってきた。こんなものを受け取ってしまった以上、石森のことを応援しないわけにはいかない。2022年、僕は必ず石森のユニフォームとタオルを持参して球場へ向かう決意を固め、それを遵守している。

グッズに手紙を添える理由

 さて、この素晴らしい手紙を書いた方は、火の国サラマンダーズに職員として勤務する梅野翔子さん。文春野球西武ライオンズ監督の中島大輔さんの仲介もあって、直接お話を伺うことができた。

「本当にこのような機会をいただき、ありがとうございます」

 そう言って取材をご快諾くださった梅野さんは、96年大阪府生まれ。“野球選手を応援したい”という理由で中高は智辯学園に進学し、吹奏楽部に所属した。その後、和歌山大学に進学し、硬式野球部のマネージャーを務めながら、インターン生としてアメリカマイナーリーグ2Aのペンサコーラ・ブルーワフーズでスポーツビジネスを学んだという本物の野球好きだ。

梅野翔子さん ©カルロス矢吹

 大学卒業後は、中高時代の恩師の影響もあり、火の国サラマンダーズに入社。グッズの開発と販売を担当するようになったそうだが、なんとグッズ購入者への手紙同封は毎回行なっている上、時間がある時は手書きでしたためているという。その理由を梅野さんはこう語った。

「やっぱり火の国サラマンダーズというチームの名前を覚えて欲しいというのが一番で、そのためにできることはなんだろう?と考えて、手紙を書こうと。誰に許可を取るわけでもなく、私が始めたんですが、社長が一緒に書いてくれることもありました。私がアメリカでインターンをした時に、2Aのチームのフロントが“ファンをいかに楽しませるか?”ということを必死でやっていて。私もこういう人になりたいな、っていう思いが自分の軸になっています」