漫画家の河合じゅんじ先生、文春野球初登板です! 『週刊ベースボール』で「私情の空論 プロ野球の今昔名シーン!」を連載されていました。幼い頃、『かっとばせ!キヨハラくん』や『ゴーゴー!ゴジラッ!!マツイくん』に夢中になったプロ野球ファンも多いのではないでしょうか。
名古屋市出身で筋金入りのドラゴンズファンの河合先生にお話をうかがいつつ、今年のドラゴンズの名場面をイラストで振り返っていただきました!(構成:大山くまお)
印象に残った大野雄大の「完全試合」
一番印象に残ったのは、大野雄大さんが「完全試合」を成し遂げた5月6日の阪神戦です。10回に佐藤輝明さんに打たれてしまいましたが、石川昂弥さんがサヨナラヒットを打って、大野さんが喜んでいる姿が良かったですね。9回に梅野(隆太郎)選手のファールフライを岡林(勇希)さんがファインプレーした場面もよく覚えています。
今年はあまりドラゴンズが勝てないから、余計に印象に残る試合でした。去年や一昨年はなかなかこういうドラマチックな勝ち方ができなかったので、これで勢いがついてくれるかなと思いましたが、なかなかうまくいかないものですね。ケガ人も多くて、今年の中日は運が悪かったと思います。
もともと中日は大味なチームなんです。勝ってばかりのチームではなかった。星野仙一さんが監督になってからAクラスが続くようになって、落合博満さんが監督になってからはずっとAクラス。今はその反動が来ているような感じです。ドラゴンズはこの30年ぐらいで星野さんと落合さんしか優勝していませんから。あの2人は特別な監督でしたね。それを超えるのは大変ですよ。
立浪(和義)さんはなかなか難しいタイミングで監督になったと思います。戦力も整ってないし、外国人の補強もない。今は長い目で見ています。立浪さんが3年契約だとしたら、3年目ぐらいで優勝争いできればいいんじゃないでしょうか。
今年は期待できる若手がたくさん出てきています。土田龍空選手、高橋宏斗投手、清水達也投手、上田洸太朗投手、そして根尾昂投手。描きたい選手がたくさんいます。岡林さんが一番に定着するなら、さらに期待できます。土田さんもそうですが、活躍している若手はみんな面構えがいいですね。上田さんは20歳ですが、これも面構えがいい。いいピッチャーを獲りましたね。
石川昂弥さん、鵜飼航丞さんにはもちろん期待していますよ。大砲が2人ともケガしちゃったのは計算外でしたね。2人がホームランを打っていればペナントレースの展開はまた違ったでしょう。ヤクルトの村上(宗隆)さん、オリックスの吉田正尚さん、ベイスターズの牧(秀悟)さん、佐野(恵太)さんのような勝負強い打者が一人でも中日にいてくれたら、ぜんぜん違いますよね。