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勝てない時期もある――先輩からのメッセージをしっかりと受け止めた

「将司は落ち込んだりそんなタイプではないんですけど、モチベーションのことを話して。勝てない状況が続いてるけど、イニングだったり防御率が実力だよ、と」

 岩貞も入団1年目から先発を任され、勝てない時期も経験していた。打線との兼ね合いもあり、自身でコントロールできない白星にとらわれず、足下を見つめて自分の投球をすれば着実に増加、良化するイニングや防御率を意識して調整することを助言。そして、もう一つ大事なことを伝えたという。

「将司は毎年、疲れが出てきたら悪くなる球種があるんですけど、それが昨日(オリックス戦)は良い動きをしていたよと」

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 “何も変えることはない”“いつか勝てる”。そんなメッセージを、後輩もしっかり受け止めた。

「サダさんも勝てない時期があったみたいで、どうしても悪い方向に考えてしまいそうな時にアドバイスをもらいました。防御率とかを見て調整していけばいいと。良くない時はツーシームが逆方向にいって一発とか。そういうのをサダさんが見てくれてました」

 それから2週間後の7月1日、伊藤将は5月18日以来6試合ぶりとなる勝利投手になった。東京ドームでジャイアンツを7回まで4安打に封じて無失点と、会心のピッチング。役目を果たすと、8回からバトンを渡したのは岩貞だった。

「将司が勝てていなかったので気合いは入りました」

 相手に付けいる隙を与えず11球で3者凡退に封じ、勝利をアシストした。冒頭の発言には“前文”がある。 

「やっぱりサダさんと一緒に自主トレして、こうやってシーズンで先発と中継ぎで一緒に投げてチームに貢献できるのが一番嬉しいので。そのたびにサダさんに付いて行って良かったなと思いますね」

 ファンの間では“さだまさし”とも称される師弟コンビの絆は勝利のたびに強くなっていく。

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